岩波新書<br> 魯迅―東アジアを生きる文学

電子版価格
¥880
  • 電書あり
  • ポイントキャンペーン

岩波新書
魯迅―東アジアを生きる文学

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 244p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004312994
  • NDC分類 920.28
  • Cコード C0298

内容説明

多くの教科書にその作品が採用されている魯迅は、日本で最も親しまれてきた外国の作家の一人である。その生涯を東アジアの都市遍歴という視点でたどった評伝。ハリウッド映画を楽しむ近代的都市生活者として魯迅を描きだしながら、その作品が東アジア共通のモダンクラシックとして受容されてきたことを明らかにする。

目次

第1章 私と魯迅
第2章 目覚めと旅立ち―紹興・南京時代
第3章 刺激に満ちた留学体験―東京・仙台時代
第4章 官僚学者から新文学者へ―北京時代
第5章 恋と映画とゴシップと―上海時代(1)
第6章 左翼文壇の旗手として―上海時代(2)
第7章 日本と魯迅
第8章 東アジアと魯迅
第9章 魯迅と現代中国

著者等紹介

藤井省三[フジイショウゾウ]
1952年東京に生まれる。1982年東京大学大学院博士課程修了。桜美林大学助教授を経て、東京大学文学部教授、文学博士。専攻は近現代中国文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

9
魯迅の生涯の詳伝。特に村上春樹と魯迅の関係の考察が興味深かったです。どんな作家も尊敬する人物の模倣からその道が始まるのだなと。2018/07/29

白義

9
各都市ごとの魯迅の軌跡をたどりながら今もなお息づくその作品の生命力、中国を超え東アジアの後進に吹き込まれるエネルギーを闊達に論じていく入門的伝記。印象深いのは日本最大の魯迅論者として名高い巨人、竹内好の翻訳批判と村上春樹にいかに深く魯迅が影響を与えているかという話。また、毛沢東時代に実像とかけ離れた偶像として祭り上げながら、毛沢東自身は魯迅が今生きていたら「牢屋に閉じこめられながらもなおも書こうとしているか、大勢を知って沈黙しているか」と魯迅の真実をよく言い当てているように見えるのもよかった2012/11/18

とんこつ

8
本書の前半は、魯迅の生涯を故郷での生活と、東京・仙台滞在、北京時代、上海時代にわけてその軌跡を追い、後半では魯迅文学が日本をはじめとする東アジアの国々における各時代ごとでの受容を探っている。日本の魯迅受容はやはり近代以降の中国の理解の手がかりとしての役割を果たしたが、東アジアの国や地域にとっては19世紀・20世紀の植民地支配からの解放の精神的支柱としての魯迅の読みがあるという指摘は印象に残った。また太宰や大江も魯迅を深く読み込んでいたということから、今と一昔前の日本の中国に対する眼差しの違いが感じられた。2016/12/18

壱萬弐仟縁

6
大江健三郎、村上春樹は市民社会や、ポストモダン社会に対し、阿Q像を援用して根本批判を行なってきた(21頁)。柔道創始者、加納治五郎も登場する(52頁)。漱石への傾倒(57頁~)。憶えておきたい。銭夢竜(せんぽうりゅう、チエン・モンロン)先生は、細かく読む、深く考える、と板書(212頁)。評者は、粗く読む、浅く考える。猛省したい。中国文学が現代日本に与える影響は、領土問題や著作権問題の根っこともいえるのかもしれない。まだ、分り合えていないのは、双方の国民が、19、20世紀文學界事情を把握していないも原因か。2013/05/06

1
魯迅の伝記と作品読解や影響関係などはとても面白かった。竹内訳が土着化であると厳しく批判しているが、著者からにじみ出る竹内好への対抗意識の割には文の区切りと愛称の意訳の二点しか指摘されていないためあまり響かず。最後の村上春樹との関連では学者とは思えない馬鹿げた指摘をしている。本書の主題であるはずの後半は微妙だった。2021/05/08

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/2686640
  • ご注意事項