出版社内容情報
『源氏物語』『枕草子』『伊勢物語』などは、今も変わらぬ人間の本性を映している。誰もがかかえる愚かしさ、燃える嫉妬心、権力者との危うい関わり・・・・・・。王朝古典の本当の面白さを小気味よい筆運びで伝える。
内容説明
『源氏物語』『枕草子』『伊勢物語』など「王朝古典」には誰もが学校の「古文」などで触れるが、その本当の面白さは教科書に採用されぬ部分にある、と著者は断言する。誰もがかかえる愚かしさ、燃えるような嫉妬心、権力者との危うい関わり…。今も変わらぬ人間の本性を映す世界へ、現代的な感覚、小気味よい筆運びで案内する。
目次
序章 王朝文学の世界へ
第1章 王朝文学、二つの柱
第2章 『古今和歌集』の出現
第3章 日記文学の面白さ
第4章 歌から物語へ
第5章 暮らしの背景―王朝文学理解のために
第6章 紫式部と清少納言
第7章 『新古今和歌集』―王朝文学の終焉
著者等紹介
尾崎左永子[オザキサエコ]
歌人、エッセイスト。1927年、東京に生まれる。東京女子大学文学部国語科卒。佐藤佐太郎に短歌を学び、57年、歌集『さるびあ街』(沖積舎)上梓。放送作家、作詞家として活動。松尾聰門下として日本古典の世界へ。歌集多数。著書に『源氏の恋文』(求龍堂、日本エッセイスト・クラブ賞)、『源氏の薫り』(同)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
34
とても面白かった。古典というと、とっつきにくいものと敬遠される方もいらっしゃると思う。けれどこの本は人間の普遍という分析をすることで私たちを昔の作品につないでくれる。衣装など文化の説明もあり、古典文学を理解する一助になってくれそうだ。2014/11/17
壱萬弐仟縁
14
貴族が伝来の文字や詩文を消化し、日本独特の特色を創造し始めた頃の文学(6頁)という認識。日本的アレンジは日本の流儀であって、この文化は経営や経済社会にも影響していったのは合点がいく。「富士の烟(けむり)」(89頁)。ということは、噴火した後の時代であったの? ただ、吹雪いていたの? と思った。禁書としての『伊勢物語』(96頁)。男女差別ではだめだ。「女人出家」(132頁)。家柄よくとも、生活能力が低かったり、権勢争いばかりでは、やになっちゃうでしょう、と。生きる場所探しといえる。第5章は高校古文基礎知識。2013/07/30
sheemer
9
歌人・エッセイストの著者によるさまざまな王朝文学評および解説。田中貴子先生ほどはっちゃけてはいないが、コンサイスでわかりやすい解説本、内容は入門者には十分。図書館本だが、たぶん買うと思う。2019/04/21
1877
4
この時代に生まれた古典文学は多いが、そのどこからもぐり込んでも、古典は決して読者を拒否することがない。2013/07/09
tatsuki
3
結局文学における結論は感性に引き摺られるので、自分なりの価値を見出すには自らも原典を精読せねば厳しいなあ。私はウェットな源氏物語よりもカラッとした伊勢物語や古今和歌集の方が好き。土佐日記は確かに、たまにドン引きするような下ネタが出てくるよね。2011/05/11