出版社内容情報
ロマ、ツィガーヌ、ヒターノ、マヌーシュ、シンティ、ドム・・・・・さまざまな名で世界に拡散する、国を持たない人びと「ジプシー」。その音楽の魅力に導かれた著者が、バルカン~中欧~アラブ諸国まで訪ねた10年間の出会いと発見の記録。
内容説明
ロマ、ツィガーヌ、ヒターノ、マヌーシュ、カーロ、シンティ、ドム…さまざまな名で世界に拡散するジプシー。「自由の民」でも「乞食で泥棒」でもなく、国をもたぬ彼らは二一世紀の世界をいかに生きぬいているのか―ジプシー音楽に導かれた著者がバルカン~中欧~アラブ諸国へ、歴史ある集落から難民キャンプまでを訪ねた一〇年の記録。
目次
序章 ジプシーと出会うまで
第1章 ジプシーとは誰か
第2章 ジプシーに分け入って―バルカンから中欧へ
第3章 ドムたち―ヨーロッパの外へ
第4章 ジプシー・ミュージック―それはどのように世界に登場したのか
第5章 ジプシーを知る、ジプシーを見つめる
資料 世界のジプシー人口分布/分布図
著者等紹介
関口義人[セキグチヨシト]
1950年東京生まれ。ヨーロッパでの商社勤務ののち、ジプシー研究、音楽評論、アーティスト招聘に携わる。バルカン音楽を紹介するレーベル主宰を経て、早稲田大学、桜美林大学で非常勤講師(音楽マネージメント論、民族音楽研究ほか)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
26
アイルランドで警察がロマ夫婦から金髪少女を「保護」した後、DNA鑑定で実の親子と分かったため親に返す騒ぎがあったのは、つい最近のことである。今日、「ロマ」と呼称されるようになったとはいえ、ジプシーへの差別と迫害は依然としてEU諸国に根強く残る。ジプシー・ファンを公言する世界的スターのジョニー・デップなど、ジプシーに好意的で、少なからず社会的に影響力のある人々がいるが、過去1000年支配権力も派遣国家も一切もつことのなかった人々への迫害と差別は、そう簡単にはなくならない。本書は在野のジプシー研究者が、世界に2013/12/10
壱萬弐仟縁
18
人生は旅だ(3頁)。ジプシーは難民、不法移民、失業、貧困問題の吹き溜まりのようだ(17頁)。彼らの存在が知られにくいのはアイデンティティ表明機会があまりないため(19頁)。異民族が共存するには容易なことではない。日本人は単一民族、との誤解を中曽根元首相が抱いていたのからすると、なかなか日本人にはわかりにくい存在だと思う。ジプシーにとって教育は大きな問題のようだ(49頁)。次世代への配慮という視点。難民への投票権は社会参加の玄関。評者も地球市民というとき、彼らの存在を無視してはならないと思う。音楽は貴重だ。2013/07/14
ヴェネツィア
10
長年に亘ってジプシー音楽に関わってきた著者による、渾身のルポルタージュ。 本書の中でも語られているように、これは学問的なフィールドワークではけっしてないし、あくまでもジャーナリスティックな視点に立つものであろう。 しかし、特に第3章のドムを訪ねるくだりは、今までに誰もなしえなかった業績であり、もっと高く評価されるべきだろう。 ジプシーの未来を語る著者の視点は、他の誰の追随をも許さない暖かなものである。2012/01/09
ふじっこ
8
ジプシーについて本という形で知ろうとするのが間違いなのか。やはり、この題名のように訪ねていくべきなのだろう。2016/06/22
tsubomi
6
2015.08.15-09.16:この本はタイトルに惹かれて買ったのですが、著者が中東〜ヨーロッパの‘ジプシー(地域によって名称は様々)’たちを尋ね歩いた探訪紀+彼らの音楽の過去と現在について広く浅く書かれたもので、予想以上に新しい発見がありました。特に中東地域のドムや、今となっては取材することが難しいシリア国内の集落など、貴重な記録となっています。この本に出てくる人たちは今どこで暮らしているのだろう?無事に生きているのだろうか?と思いながら読みました。文献やHPの紹介が多いのも親切。2015/09/16