出版社内容情報
『古事記』から『春色梅児誉美(シュンショクウメゴヨミ)』まで、歴代の名作30を取り上げ、言葉と表現を切り口に読み解く。比喩・擬音語・擬態語などを手掛かりに、古典の底力・日本語の魅力を再発見できる、斬新な古典案内。
内容説明
奈良時代の『古事記』から江戸末期の『春色梅児誉美』まで、歴代の名作三〇を取り上げて、言葉と表現を切り口にその面白さを解き明かしていく。登場人物の言葉遣いや鮮やかな比喩、擬音語・擬態語の生き生きとした効果などがよく分かる選び抜かれた原文を味わいながら、古典の底力、日本語の魅力を再発見できる、斬新な古典文学入門。
目次
1 言葉に霊力が宿る―奈良時代(古事記―言葉が生む悲劇;日本書紀―リアルな歴史叙述 ほか)
2 貴族文化の花が咲く―平安時代(竹取物語―成長するかぐや姫;伊勢物語―命をかける、それが愛 ほか)
3 乱世を生きた人は語る―鎌倉・室町時代(方丈記―見事なドキュメンタリー;平家物語―鮮烈に描かれる若武者の死 ほか)
4 庶民が楽しむ言葉の世界―江戸時代(好色一代男―近世的なプレイボーイ;おくのほそ道―句を際立たせる ほか)
著者等紹介
山口仲美[ヤマグチナカミ]
1943年静岡県生まれ。お茶の水女子大学卒業、東京大学大学院修士課程修了、文学博士。現在、明治大学国際日本学部教授。専攻は日本語学(日本語史、擬声語研究)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐島楓
42
面白かったです! いきなり原文にあたるのは無理でも、ユーモア混じりの筆でこれほど楽しそうに各作品を説明されてしまうと、現代語訳ででも読んでみたい! となるもの。こういう形で読者に興味を持たせればいいのですね。勉強になりました。2014/11/19
しゅてふぁん
39
‘日本語から見た古典’とは何とも興味深い。『古事記』ヤマトタケルの‘倭は国のまほろば…’の和歌の背景を垣間見た。古事記は難しいから避けていたけれど、読んでみたくなった。その他にも『源氏物語』では人物によって形容の擬態語が違っていたとか、『平家物語』の敦盛の最期の場面にしか出てこない言葉がいくつもあるとか、自分では気づけないことが盛りだくさんで面白かった。大和物語、風姿花伝、好色一代男、曽根崎心中…読んでみたい古典がまた増えた!2018/05/11
出世八五郎
34
【古事記/日本書紀/風土記/竹取物語/伊勢物語/うつほ物語/蜻蛉日記/大和日記/落窪物語/枕草子/源氏物語/堤中納言物語/大鏡/今昔物語集/方丈記/平家物語/とはずがたり/徒然草/太平記/風姿花伝/狂言/伊曾保物語/好色一代男/おくのほそ道/曽根崎心中/雨月物語/東海道中膝栗毛/蘭東事始/南総里見八犬伝/春色梅児誉美】以上日本古典30作品を紹介するガイドブックです。題名が“日本語の”となっているのは狂言が混ざっているからだと思います。一つ一つの古典をその特徴や時代の制約条件での読み方などを教えてくれます。2015/07/13
はちてん
24
『犬は「ぴよ」と鳴いていた』で山口仲美さんに興味を持ったので読んでみた。分量としては踏み込み不足だけれど、ダイジェスト版古典名作ご紹介としてみたら、充分楽しませていただいた。 高校の授業が合わず日本の古典文学が嫌いになっていた頃があった。今思うと笑ってしまうが、下手な授業で嫌いになるのは悲しすぎる。2012/07/04
びっぐすとん
20
図書館本。著者の本は何冊か読んでいるので既読感があるのかなと思ったら、実際四年前に読んでいた・・。途中であれ?とは思ったんだけど。今回気になったのは『落窪物語』『とはずがたり』。特に『とはずがたり』の二条の罪悪感のなさが興味深い。受け身故に良心の呵責を感じないというのが、この時代どのみち女性の扱いは低い、それなら「私のせいじゃないもの」という自己保身もある意味自然かもしれない。『伊勢物語』『大和物語』の歌物語の夫婦の美談より、『今昔』の夫婦のやり取りの方が痛快だし、現実的。『落窪物語』の擬音語がリアル。2020/03/25