出版社内容情報
我が世の栄華を満月にたとえた藤原道長。彼が他の貴族を圧倒する力を得たのはなぜか。『枕草子』『源氏物語』などすぐれた女房文学がなぜ生まれたのか。殿上人は、そして都の庶民は、どのような一年を送っていたのか。さらに、力をつける地方国司、武士の台頭、そして末法思想と浄土教の広がりなど、古代の終わりと中世への胎動を描くシリーズ最終巻。
内容説明
我が世の栄華を満月にたとえた藤原道長。彼が他の貴族を圧倒する力を得たのはなぜか。『枕草子』『源氏物語』などすぐれた女房文学はなぜ生まれたのか。殿上人は、そして都の庶民は、どんな一年を送っていたのか。力をつける地方国司、武士の台頭、そして末法思想と浄土教の広がりなど、古代の終わりと中世への胎動を描く。
目次
はじめに―藤原道長の「我が世」とは
第1章 摂政・関白制度の誕生
第2章 道長がつくった時代
第3章 「殿上人」の世界
第4章 ひろがりゆく「都市」と「地方」
第5章 国際関係のなかの摂関政治
第6章 頼通の世から「末法」の世へ
おわりに―「古代貴族」と「律令国家」の終焉
著者等紹介
古瀬奈津子[フルセナツコ]
1954年生まれ。1983年お茶の水女子大学大学院人間文化研究科(博士課程)単位取得退学。現在、お茶の水女子大学大学院教授、博士(文学)。専攻、日本古代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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びっぐすとん
16
図書館本。いよいよシリーズ最終巻。摂関政治の終焉をもって古代は終わり、大きなうねりとなって武士の世、中世へ。摂関政治とは外祖父、母后、幼帝の3つが揃って初めて成り立つというある意味賭けみたいなもの。輝かしく導入された律令制度も破綻し、先例に則るばかりであった貴族社会にはもはや時代のニーズに答える能力は無かったのだろう。日本は不思議だ。天皇家を倒したり、貴族層を潰したりせず、細々と生き長らえさせ、後の世まで名ばかりの権威付けに利用するのだから。自分の価値を保証してくれる尊い機関としての価値を見いだしたか。2019/12/11
coolflat
14
9世紀半ば、清和天皇が9歳で即位したことは、幼帝でも天皇制が機能するようになったことを示していた。そして応天門の変という政変を契機に、天皇大権を代行する摂政が登場する。清和天皇の外戚、藤原良房がその人だ。その後、天皇の外戚である藤原氏が、幼帝の時は摂政、成人すると関白となり、天皇を補佐する摂関政治が始まる。天皇制を前提として、政治の実権は摂関が握るというあり方は、その後の日本における政治の仕組みの枠組みとなっていく。摂関政治に続く院政期では院が、その先は鎌倉幕府や室町幕府更に江戸幕府が政治の実権を把握する2017/04/29
お茶
14
9世紀後半から11世紀半ばまで。『源氏物語』の背景を明らかにする。身分・官職が天皇や皇后個人との私的関係(昇殿制・女房)に変化していく。逆に太政官制の形骸化=「奏事」へ。通い婚から同居へ、「家」が成立する直前のあり方、外戚や母后の力はそのため。「年中行事」の原理が確立した宇多~摂関期。「受領」の成立、負名体制。唐帝国の滅亡、中国認識の相対化としての国風文化。ここでも東アジアの中の日本という国際関係が、歴史に大きな影響を与え続けた、その意味での古代の終わり。2017/03/11
fseigojp
12
外圧がなく、国内の反乱も収束 しかし、後半は東北で前9・後3がおこり、武士の台頭へ2020/03/24
えいなえいな
12
摂関政治の時代です。この時代が華やかに感じるのは天皇家や藤原家をはじめ、紫式部や清少納言などの女性が活躍しているからなんですね。確かにこの後の時代になると影の存在になっていくような気がします。ここに来てやっと当時の政治や生活がイメージできるようになってきましたどんどんと資料が増えていくからです。この頃の資料が日記や物語中心というのも時代を反映していて面白いです。平安時代、深く調べてみても面白いかもしれません。2020/03/16