出版社内容情報
8世紀の日本は,国家のすみずみまでに統治を及ぼす大宝律令の施行で幕を開けた.つづく平城遷都,記紀の編纂など,唐を手本にした体制が整えられ,奈良の都に天平文化が花開く.ところがそこに襲う疫病の流行,皇位継承をめぐる争い…….激動の8世紀を人々はどう生きたのか
内容説明
八世紀の日本は、国家のすみずみにまで統治を及ぼす大宝律令の施行で幕を開けた。つづく平城遷都、記紀の編纂など、唐を手本にした体制が整えられ、奈良の都に天平文化が花開く。ところがそこに襲う疫病の流行、皇位継承をめぐる争い…。揺れ動く時代を人々はどう生きたのか。天皇・貴族や人民の動向を、豊富な資料を駆使して描く。
目次
はじめに―平城京の時代はどう見られていたか
第1章 律令国家の成立
第2章 国家と社会の仕組み
第3章 平城遷都
第4章 聖武天皇と仏教
第5章 古代社会の黄昏
おわりに―平城京の時代をどう見るべきか
著者等紹介
坂上康俊[サカウエヤストシ]
1955年生まれ。東京大学大学院博士課程中退。現在、九州大学大学院教授。専攻は奈良・平安時代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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レアル
55
日本の枠組みが出来つつあるこの時代。律はともかく令が私の頭の中で整理がつかず、未だあまり分かっていないのだが、それらをかいつまんでではあるが分かり易く説明してくれているのが私の中で印象深い。そして藤原京時代から築き上げた律令制度が実を結んだ平城京時代に突入。この時代は近隣アジアから様々な文化を吸収し、また日本風にアレンジした時代。唐との比較も読み処。2019/03/11
翔亀
48
吉川真司さんの古代史に比べるとオーソドックスで読みやすく、かつ手堅い。その中でこの時代は、吉川本ともども藤原京とか平城京の発掘の進展による、宮廷の再現に自分としては注目してしまった。この時代にすでに役人とかサラリーマン、官僚制といわれる組織の原型が出現しているではないか、という思いである。天皇を社長と見立ててれば、大極殿は社長室で朝堂は大会議室で曹司が各課だ。本書では中国の宮殿との比較に強く理解を助けてくれた。もちろんその模倣だ。まだ、貨幣経済とかイエとかがない時代に、まず官僚制が先行したんだなあ ↓2017/03/26
HMax
27
結構むずかしい内容でした。それにしても平城京も広いですね。こんな広い土地を開発したというの、本当に凄い。白村江の戦い(663年)に負けてから、今で言う軍国主義的な体制を確立するために大宝律令(701年)にできたといことも言えるのでは。当時は今以上に国際関係が、都の造営から、法制度、宗教、権力争いまで、大きく与えていたようで、今更ながら驚きました。蝦夷だけではなく、九州隼人とも言葉が通じず通訳が必要だったということも驚き。2020/01/11
びっぐすとん
19
図書館本。大宝律令の制定をもって奈良時代の始まりとするなら、法、戸籍、官僚機構、中国にならって整備された京と、日本が国家として体をなした時代ということか。漢字の日本語への転用も広がり、記録が多く残るようになる中で、逆に失われていく「帝紀」「旧辞」等紀記以前の記録。権力者の都合のよいものだけが伝えられ、不都合なものは伝わらない。教科書では主に天皇を中心とした歴史は学ぶが、東国、隼人、蝦夷、海外情勢などは知らないことばかり。現代では考えられないことも起こるが、それでも現代人の感覚でも理解できる時代になった。2019/12/10
えいなえいな
14
奈良時代まで来るといろいろな出来事が詳細に至るまで分かっているようで、政治が物語りめいてきました。歴史書や歌集が編纂され始めたことが主な理由ですが、こんなに古い書物でもここまで分かるというのは凄いですが、やはりこの時代の意義とはこの辺りらしいです。2019/08/16