出版社内容情報
避けることができない偶然に、人はどう対処すべきか。確率論で偶然が制御できるか、大数の法則は普遍的か、歴史や生物進化における偶然の役割とは、不運は自己責任か。偶然と必然を考えると、偶然の積極的な意味が見えてくる。
内容説明
偶然は避けることができない。確率論によってリスクを管理したり、合理的意思決定理論によって不運を消滅させることはできない。一方、生物の進化や人間の歴史を考えると、偶然の積極的な意味が見えてくる。偶然は、単に必然の否定といった消極的なものではない。偶然は想像力を刺激することによって、人生をより豊かなものとしている。
目次
第1章 偶然と必然
第2章 確率の意味
第3章 確率を応用する論理
第4章 偶然の積極的意味
第5章 偶然にどう対処すべきか
第6章 歴史の中の偶然性
著者等紹介
竹内啓[タケウチケイ]
1933年生まれ、1956年東京大学経済学部卒業、1961年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。1963年東京大学経済学部助教授、1975‐94年同教授、1987‐94年同先端科学技術研究センター併任教授、1994‐2006年明治学院大学国際学部教授。専攻は統計学、経済学、科学技術論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kaizen@名古屋de朝活読書会
59
#説明歌 偶然に定言・仮説・離接あり仮説は理由・因果・目的 #解説歌 偶然は必然の逆幸運と不運嘆かぬ論理構造2016/04/13
ベガ@あやめ
13
今回の中間考査範囲。評論にしてはおもしろかった。結構共感できるところがあって、評論に慣れてない人にはおすすめできそう2015/11/27
忘備録
9
定性/定量の両側面から「偶然」というものについて論じた一冊。統計学的な数式を用いた説明もあるので、一部知識が無いと理解が難しい。筆者が断定を避けている部分も少なからずあり、もう少し詳しく知りたいともどかしくなる。2018/05/12
トマス
7
何かとリスク管理が叫ばれる現代だが、確率だけで世界が動いているわけではない。前半で確率論における「偶然」の位置を確認したうえで、後半は生物の進化や歴史の中の偶然、大規模災害のリスクへの対処など、幅広い領域で偶然の積極的意味を探る。第3章まで数学・統計学の話を慎重に進めていた割に、科学全般へと話を拡げてからは偶然に対する根拠付けが弱いと思った。分野を大胆に横断した偶然と必然をめぐる議論には迫力があるものの、主張としては「全てを確率で割り切ってしまってはいけない」というところに留まっている気がして物足りない。2016/10/16
NICK
7
「偶然」という概念について科学史的に、確率論的に、あるいはリスク社会論的になど、様々な視点から論じた本で、視野は広い。ニュートンやラプラスが提唱した力学体系(=世界観)においては万物は完全にある法則に従って動いているのであって偶然というのは根本的には存在しないとされていた。いわばこれは本質的な変化の存在しない、冷たい世界観だろう。一方で進化論における突然変異などは偶然が創造性(熱さ)をもたらすブレイクスルーとなっているという。もちろん偶然は破壊ももたらすが、創造という側面を気に留めておくにしくはない2013/10/14