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岩波新書
『七人の侍』と現代―黒澤明再考

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  • サイズ 新書判/ページ数 216p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004312550
  • NDC分類 778.21
  • Cコード C0274

出版社内容情報

日本映画を代表する名作として、栄光の神話に包まれている『七人の侍』。しかし世界のいたるところで、いまなお現代的なテーマとして受容されている。制作された時代背景などを考察し、その魅力を改めて読み解く。

内容説明

日本映画を代表する名作として、幾重にも栄光の神話に包まれてきた黒澤明の『七人の侍』。しかし世界のいたるところで、いまなお現代的なテーマとして受容され、その影響を受けた作品の発表が続く。制作過程や当時の時代状況などを丹念に考察し、映画史における意義、黒澤が込めた意図など、作品の魅力を改めて読み解く。

目次

第1章 黒澤明、ふたたび
第2章 映画ジャンルと化した『七人の侍』
第3章 一九五四年という年
第4章 構想と制作
第5章 時代劇映画と黒澤明
第6章 侍の表象
第7章 百姓、そして菊千代
第8章 敵ははたして敵か?
第9章 敗北と服喪
第10章 栄光の神話と孤立

著者等紹介

四方田犬彦[ヨモタイヌヒコ]
1953年西宮市に生まれる。東京大学人文系大学院博士課程修了。専攻は比較文学・比較文化。コロンビア大学、ボローニャ大学、テルアヴィヴ大学などで客員研究員・教授を転々とし、現在は明治学院大学教授として映画史の教鞭を執る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

378
一つの映画を分析するというのは、こういう営為を言うのかと、もはや驚嘆すべき映画論である。『七人の侍』は、これまでに少なくても3度は見ているが、何と漫然と見ていたのかと反省というよりは、自分自身にあきれる始末。日本の映画史という文脈の中での位置づけ。そして、この作品が製作された1954年ということの意味(それはマールホルツの言う芸術の持つ一回性にも通じるだろう)。侍と農民といった階級間の、けっして埋まることのない階梯。「敗北と服喪」に表象される主題論。いずれを取っても実に高い説得力を持つ論考である。2022/12/28

Sam

41
歴史的名作として世界的に評価され、いまでも世界のあちこちでリメイクやパスティーシュが製作されているという「七人の侍」。本書ではその映画史的な位置付け、制作にいたる経緯・背景等々、あらゆる角度からの分析がなされておりファンは必読と思います。私も非常に面白く読みました。もっとも、著者にしては教科書的な書き振り(大学や市民講座で「黒澤明論」といった講義でも設けるとしたらそのテキストとしてまさにピッタリ)でやや物足りなさを感じたのも事実だけど、岩波新書ということで堅めのアプローチをしたのかも。2021/08/19

bura

41
積読本。図書館のリサイクルコーナーで頂いた本。私達にとっては古典的名作、黒澤明監督の「七人の侍」が今も尚、パレスチナやセルビアに到るまで世界の至る場所で現代的なテーマとして受け入れられ、その影響を受けた作品が発表されている。この事実を四方田氏は制作された1954年という時代背景、その構想から制作過程、映画の中の侍と百姓、そして「敵」である野伏せりたちについて等々、様々な角度から考察していく。現代に通じる丹念な映像分析を読み終えて、改めて「七人の侍」を観直してみたくなる一冊だった。2020/05/16

jima

16
なるほど、と思いながら読んだ。時代背景から、「再軍備論争」「自民党だけが絶賛するという不幸な光景」等々。でも、「7人の侍」「用心棒」「椿三十郎」の黒沢映画、手塚治虫とちばてつやの漫画は、自分の骨や血肉になっている。2015/08/27

おおかみ

12
映画史に燦然と輝く名作を、名作として埋没させるのではなく現代におけるアクチュアルなフィルムとして捉えたところに本書の特色がある。公開後、今に至るまで世界中でどのように受容され評価されてきたのか。いかなる社会的・政治的背景のもとに制作されたのか。黒澤明は何をなし、あるいは何をなし得なかったのか。黒澤明とは何なのか。まだまだ語り足りないという印象だが、全般的に納得できる考察だった。2010/10/14

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