出版社内容情報
中国はなぜ社会主義をめざしたのか。さまざまな戦後構想が交錯するなか、政治の実権を握った中国共産党。徐々に急進化するその政策路線は、やがて文化大革命の嵐を呼び寄せてしまう。混乱と迷走の四半世紀をたどる。
内容説明
人民共和国の成立は、必ずしも社会主義政権の樹立を意味していなかった。それにもかかわらず、中国はなぜ社会主義をめざしたのか。戦後、さまざまな政治構想が交錯するなかで実権を握った中国共産党。急進化するその政策路線はやがて、文化大革命の嵐を呼び寄せてしまう。試行錯誤を重ねた四半世紀をたどる。
目次
第1章 戦後復興の基望と混沌
第2章 冷戦のなかの国づくり
第3章 急進的社会主義路線「大躍進」の頓挫
第4章 試行錯誤する社会主義
第5章 急進的社会主義への再挑戦「文化大革命」
第6章 転換を迫られる文革路線
著者等紹介
久保亨[クボトオル]
1953年東京都生まれ。1976年東京大学文学部東洋史学科卒業。一橋大学大学院、東京大学東洋文化研究所助手を経て、信州大学人文学部教授。専攻は中国近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
105
副題にも書かれているように1945年から71年までの中国の状況が書かれています。必ずしも最初から社会主義国ではなかったということが明らかになりました。私は単純にすぐ毛沢東派が権力を握っていたと思っていたのですが、そうではなかったのですね。そこのところがよくわかります。また文化大革命の必然性やその後の転換への動きも書かれています。2016/02/03
崩紫サロメ
28
日中戦争終結後の中国共産党の路線に関しては、中国の社会主義化が自明のこととされがちであるが、本書では全6章のうち、2章をかけて「新民主主義から社会主義への転換」の過程を描く。1949年の時点で社会主義を遠い未来のこととして約束していた共産党にとって社会主義への早期移行は公約違反であったが、その背景には朝鮮戦争で露見した軍事力の脆弱さ、農業生産の低迷などがあり、急速な工業化を目指し、1954年に社会主義化に向けて舵を切る。そしてそれが大躍進、文化大革命へと拡大していくまでの時期を扱っている。2021/11/16
masabi
26
【要旨】中国の政治史を中心に1945-1971までを扱う。シリーズ④。【感想】参考文献の一冊。国民党から共産党への政権移行、大躍進、文革と激動の時代である。国内の政治闘争とともに国際関係にも触れられておりわかりやすい。毛沢東が一連の惨事の首魁だが、抗日時代から国家主席に至るまで彼のなにが権力の座に導き、執着させたのか。毛沢東の評伝なりを読んでみたい。2017/01/29
coolflat
14
戦後~国共内戦~中華人民共和国成立~朝鮮戦争~チベット反乱(中印国境紛争)~中ソ対立(中ソ国境紛争)~文化大革命~ベトナム戦争~米中接近~中国が国連代表権を得る1945年~71年までの中国の歴史。1956年のスターリン批判から始まる中ソ対立だが、実は1950年の中ソ友好同盟相互援助条約を締結したその当時から、既に中ソの間には大きな亀裂が入っていたと言う。ソ連側が東北地域の港湾や鉄道の使用に関しロシア帝国時代のものに近い権益の復活を認める事を迫られたため、主権回復を妨げられた中国側は快く思わなかったとの事だ2015/08/01
ピオリーヌ
12
国共内戦の末、共産党が勝利を収め、当初は緩やかな社会主義政策を目指した共産党。だが毛沢東を中心とした急進的な社会主義政策が結果として実施され、その結果大躍進政策という事態が起こる。一旦身を引いた形になった毛沢東だが、文化大革命を起こし、権力奪還を果たす。あれ程の災禍を自国民に齎した人間が未だに英雄扱いであるのは私には理解しかねる。2019/08/30