岩波新書
中世民衆の世界―村の生活と掟

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  • サイズ 新書判/ページ数 245p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004312482
  • NDC分類 210.4
  • Cコード C0221

出版社内容情報

戦国時代、村では「領主は当座の者、百姓は末代の者」といわれていた。共同体の中で自立していく土着の百姓の生活と、その拠点となった村の掟を描きながら、近世にも継承される中世民衆の世界の深層にせまる。

内容説明

戦国時代、村では「領主は当座の者、百姓は末代の者」といわれていた。旅人にも開放されていた村のシンボル・惣堂や生産拠点であった周辺の山野などを舞台にくり広げられる土着の百姓の生活と村の掟を生きいきと描きだす中世民衆史。共同体として自立していきながら、近世にも継承される中世民衆の世界の深層にせまる。

目次

第1章 村掟―暴力の克服(村社会の暴力―戦国前期;追放解除と村―戦国後期;村と処刑者の財産;近世の村で)
第2章 惣堂―自立する村(シンボルとしての惣堂;惣堂の落書を読む;惣堂と惣物―自立の基礎)
第3章 地頭―村の生活誌(戦国の村の訴状;在地領主と百姓;不在領主と百姓;人夫の報酬)
第4章 山野―村の戦争(山野河海の利は折半で;紛争の激化と和解)
第5章 直訴―平和への道(目安箱の登場―戦場の村で;百姓の異議申し立ては秀吉自らが―豊臣期の村で;百姓直訴システムの広がり―豊臣期から徳川初期へ)

著者等紹介

藤木久志[フジキヒサシ]
1933年新潟県に生まれる。1963年東北大学大学院文学研究科修了。現在、立教大学名誉教授、文学博士。専攻は日本中世史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

渓流

5
マルクス史観に影響された貧農史観でどっぷりと教育された身には、農民百姓は虐げられ、搾取された可哀相で、毎日喘ぎながら暮らしているもの、そんな固定化されたイメージが付き纏っている。水戸黄門に出てくるお百姓さんもいつも時の権力者に泣かされている、この映像が貧農史観を更に強固なものにする。が、そうとばかりは言えない。そんなことを教えてくれる平易な書である。2010/09/27

富士さん

4
さすが藤木先生、中世のイメージをさりげなく根本から覆してくれます。本書で描かれる農村の姿は武士の客体ではない、真の土地の支配者を謳い、権利を主張し、自らのために闘い、成員を支配する、歴史の主体の姿でした。大名の農民徴兵システムと関係が気になる村の徴兵システムとか、ヨーロッパのような調停者としての領主とか、檀家制度の村役場的起源とか、識字階層の男色の多さとか、好奇心が掻き立てられる記述に溢れています。範囲が広く、その点荒くはありますが魅力的な本でした。近代の記録と合わせて読むと、より興味深いと思います。2017/06/05

ネコ虎

4
「刀狩り」に感じた驚きはなかった。何度も繰り返し同じことを言うことが目だって、論旨が不明になった。一般啓蒙書の書き方ではない。興味深い視点もたくさんあるように感じたが、まとめきれずに書いてしまったような残念な書だった。2016/12/11

Taq Asaq

4
 日本中世の民衆の話を知っても、何の得にもなりゃしない。話の種にもならない。仕事の役にも立ちはしない。それでも、俺にとっては「たった〇分で一億儲かる」とか「ポジティブ思考でうまくいく」とか、「象の神様が出てきて云々」なんて話より、よほど心が豊かになった気がしたよ。 地域に残された古いお堂の壁には、古の時代、そこに寝泊りした旅人の落書きが残っているんだよ。それを読み解いてみたくないかい? 農民はいつも、「米盗まれたぁ」なんて、虐げられていた訳ではないってことを、知りたくないかい?  そういう本ですよ。2013/03/24

ほしよる@がんばれない

3
中世の土着百姓たちの行動と村の成長を解き明かす一冊。第一章では中世の村掟から共同体としての自立を、惣作や処分の緩和、家の存続などから示す。第二章は村の惣堂がアジールであったと共に様々な人々が帰来したことを落書から解き明かしている。続く第三章では領主と百姓の四季の生活を描くが祭事では部分的に互酬関係が成立していたというのは興味深い。山野の利用と開放性を扱う第四章では為政者から度々発布された占有や独占の禁止は飢饉時の紛争の調停のみならず飢饉時の人命保護の意図もあったが、戦国期には利用規則が細密化してゆく。(続2013/07/04

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