岩波新書
鑑真

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  • サイズ 新書判/ページ数 198,/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004312185
  • NDC分類 188.12
  • Cコード C0221

出版社内容情報

五度の難破の末にようやく来日を果たした苦心談で知られる鑑真。しかしそれ以外のことはほとんど知られていない。彼はどんな思想の持ち主だったか。日本に何を夢見、日本仏教に何を残したのか。当時の日唐における仏教思想の潮流や、「戒律」の持った意味にも目配りしつつ、徹底した史料批判のうちに、その志を読み解く。

内容説明

五度の失敗の末に、ようやく来日を果たした苦心談で知られる鑑真。しかし、彼がどのような学問を修めていたか、何を実現するために日本へ来たのか、また結果として日本の仏教に何をもたらしたかについては、これまであまり語られてこなかった。日本の仏教受容という大きな流れのなかに鑑真の存在を位置づける、画期的な試み。

目次

第1章 生い立ちと唐での活躍
第2章 渡日の決意
第3章 授戒の和上
第4章 唐招提寺へ
第5章 鑑真が伝えたもの
終章 鑑真その後

著者等紹介

東野治之[トウノハルユキ]
1946年西宮市に生まれる。1971年大阪市立大学大学院修士課程修了。専攻は日本古代史・文化財史料学。現在、奈良大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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KAZOO

80
鑑真については、井上靖の「天平の甍」を読んで物語としては知っていますが、その本人や仏教における役割についてはあまり知りませんでした。この新書はその生い立ちから始まって、日本に来ることになった経緯、日本の仏教界にはたいた役割、また唐招提寺へ行ったことなどが詳しく語られています。鑑真についてはこの本でかなりわかったように感じました。2015/08/17

壱萬弐仟縁

18
行基が出てくる(46頁~)。僧尼令は中国を手本とし、律令の中にあるとのこと。行基は国家権力にとって不都合な振る舞いだったのだろう。鑑真を通して、本当の仏教とは何か、と思えてくる。唐招提寺。唐のやり方で(117頁)。「唐招提寺」とは、唐、招提と別れる。招提とは、梵語の「柘闘提奢」に由来するという(127頁)。まったく知らなかった。最澄の『顕戒論』は、鑑真から学んでいることの証だという(176頁)。質素倹約でいいのにもかかわらず、なぜ、日本の葬式はカネがかかりすぎるのか? その仏教の原点を探るには必要な一冊。2013/07/21

みなみ

12
夫の実家の本棚から借りてきた\(^o^)/鑑真といえば日本に来るのに何度も失敗して…失明して、という偉人伝的なイメージしか持っていなかった。どんな旅路だったのか、旅行資金は、など鑑真の実像に迫る。具体的な行程を知ることで、遠い航海をした鑑真の決意や誠実で真摯な人柄も感じられた。鑑真が伝えるも、ついに日本には根付かなかった仏教の戒律というテーマも興味深い。遠藤周作が「沈黙」で日本にはついにキリスト教は根付かなかったと描いたが、実は仏教も日本だけが異端で独自であるらしい。2020/12/26

takeapple

11
仕事でだが奈良に行って来た。そして唐招提寺による機会があった。この寺が奈良では一番好きである。コロナのおかげで静かに参拝でき、素晴らしい仏像を鑑賞することもできた。更に東大寺戒壇院で江戸時代に模刻された鑑真和尚像を見ることができた。そんな旅のお供にした本である。尊敬する東野先生の明快で鋭いながら易しい文に接することができ、当時に想いを馳せることができた。2020/09/06

ホシ

9
律宗の祖・鑑真が日本に伝え、根付いたものと根付かなかったものは何か?著者の綿密な考察が現代仏教における鑑真の位置を浮き彫りにする。残念ながら、鑑真の伝えた戒律は日本に根付かなかった。とはいえ、「日本に仏法を興す」という鑑真の志を最澄は受け継ぐ。最澄が比叡山を開き、後に多くの傑僧を輩出した史実を鑑みれば、鑑真が伝えた仏法の種は着実に日本の地に根ざし、開花結実したと言って良い。2017/11/13

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