内容説明
アフリカは雄大で変化に富む自然をもつ大陸であった。しかし、近年は温暖化などで急激に環境が悪化している。積雪量が減り、頂上の氷雪が消えようとしているキリマンジャロ。野生動物が食糧になって激減し、エイズの原因になっているなど、かつてない事態が起こっている。三〇年間かかわってきた環境研究者が語る最新レポート。
目次
第1章 アフリカの豊かな自然
第2章 キリマンジャロの雪が消えていく
第3章 人口増加という名の時限爆弾
第4章 都市の二つの顔
第5章 干ばつか洪水か
第6章 呪われた天然資源
第7章 ブッシュミートと霊長類の危機
第8章 大西洋をわたるサハラの砂塵
第9章 カギをにぎる農業
第10章 どうするアフリカの環境
著者等紹介
石弘之[イシヒロユキ]
1940年東京都に生まれる。東京大学卒業後、朝日新聞社に入社。編集委員、ニューヨーク特派員などをつとめる。1996年東京大学大学院教授。2002年駐ザンビア特命全権大使。2004年北海道大学大学院教授を経て、現在東京農業大学教授。この間、国連環境計画(UNEP)上級顧問、東中欧環境センター理事、国際協力事業団参与など歴任。主な受賞は、国連ボーマ賞、毎日出版文化賞、国連グローバル500賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Francis
5
積ん読状態だった本。石さんの本は結構読んでいたのでこの本も読んでみた。アフリカの環境報告とサブタイトルに謳っているが、それにとどまらないアフリカの困難な状況について書いている。人口爆発、砂漠化、過剰な森林伐採などの環境破壊、食糧不足など、アフリカの抱える問題は相当に深刻だ。人類の発祥の地に広がる豊かな自然が人類の都合で破壊されていくのは読んでいて本当にやりきれない。この深刻な状況を解決するためにもまず事実を知ることから始めることが大事なのだろう。2015/03/16
未来。
2
今年WCが行われている場所で、苦しんでいる人たちがいる。負の連鎖から抜け出せずにいる人たちがいることを知った本。2010/06/14
千日紅
1
石弘之先生の本が読んでみたかったので。元在ザンビア大使を経験されているので、アフリカに造詣が深いと思い本書を選びました。データが多いですが、読みやすい文章でかつ情報が整理されているのでぐいぐい読み進められました。2015/01/05
sasha
1
繰り返される干ばつと洪水、砂漠化、疫病の蔓延、人口爆発、政治腐敗、成功しない海外からの援助。アフリカが置かれている厳しい現実は好転する時が来るのだろうか。2011/06/15
壱萬弐仟縁
0
温暖化では食糧不足もUNDPの推計で、乾燥地域で平均気温が一度上昇すれば、収穫が10%近く落ち、珈琲は深刻であるという(35ページ)。砂漠化もアフリカでは続いていく。砂漠化対処条約があり、日本は1998年に批准していた。洪水の対極に砂漠化があるが、同時進行していくのだ。本著のタイトルにとどまらず、他の地球環境問題が各地で発生している事例が豊富に紹介されている。山の上まで伐採したので、雨が降る度に土砂崩壊するという写真付きのページもあった(ルワンダの55ページ、マダガスカルの176ページの写真が痛々しい)。2012/07/22