内容説明
前著から二〇年、「エビの現場」を追って、台湾、タイ、インドネシアなどの養殖池や加工工場を歩きつづけた著者が、豊富なデータを織り込みつつ、グローバル化時代のアジアと日本の風景を鮮やかに描き出す。世界中を「食卓基地」として、輸入に深く依存した飽食文化を謳歌する消費者・日本人に対する鋭い問いに満ちた最新レポート。
目次
第1章 エビとマングローブの海辺―アチェの津波と東ジャワの熱泥(「怪獣のような殺人流体」;津波とエビ養殖池 ほか)
第2章 変わるエビ養殖種―ブラックタイガーからバナメイへ(ニカラグアのバナメイ;バナメイというエビ ほか)
第3章 養殖池を歩く―「海辺の廃墟」への旅(「草蝦の父」はいま;藤永元作と秋穂とクルマエビ ほか)
第4章 グローバル・エビ食の時代―世界のエビ事情(台湾コネクション;エビ輸入国としての中国の台頭 ほか)
第5章 食のグローバル化とフェアトレード―飽食しつつ憂える時代に(食料自給率は三九%;バナナの問題 ほか)
著者等紹介
村井吉敬[ムライヨシノリ]
1943年千葉県に生まれる。早稲田大学政経学部卒業。現在、上智大学教授。社会経済学、インドネシア研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
11
☆☆☆★ 1に続き通読。身近な食材のエビに遠くアジアの養殖池に思いをめぐらす。フェアトレードの話は本当に最後に出てきたが、この話題は関心がある。この前見かけたフェアトレードのチョコレート、買ってみればよかったとふと思った。確かに揚げ物は家でしなくなった。2015/04/16
木ハムしっぽ
7
88年に前書が書かれ、約20年後の07年に本書が書かれた。エビを通して日本人の食料問題に迫る本書。70年代前半ではエビは高級食材だったが今となってはバナナ同様にありふれた食材となってしまった。それを可能にしたのは台湾やインドネシア、中国などのアジア諸国での養殖技術の発展にある。本書では行き過ぎた過密養殖や劣悪な労働環境にも触れている。フェアトレードは大事だが、わが家の食卓を省みることも必要そうです。2021/11/05
おらひらお
4
2007年初版。特定のものに特化した養殖を進めすぎると環境に悪化を招くことを指摘しています…。最近、エビを食べていませんね。2017/12/17
すみれ子
3
なんで日本が世界一のエビ輸入国でなくなったかというと、食べ方がプアだから。調理法に乏しいから。手間を惜しむから。核家族化が進んだから。2010/01/20
N_K
2
日本食、エビ食がプアに。揚げ物を家でしなくなり、アメリカよりも食べ方は少ない?日本人はエビの種類・味に無頓着で見るのは値段だけ。日本の食文化全体がプアになってる。 南北問題。南と北の格差を利用して日本人が美味しいものにありついているという構造。2014/09/26