内容説明
政府の「教育再生」改革では、学校教育は崩壊するのではないか。強く危機感を抱く学者ら六名が、全国一斉学力テスト、教員免許更新制、寛容なき厳罰主義、学校選択制、心の支配の強化など、一連の改革の問題点を検証。学校を真に立て直す道を共同で提案する。編者の他に、尾木直樹、喜多明人、佐藤学、中川明、西原博史の各氏が執筆。
目次
1 教育改革は、いま
2 学校教育はどう変えられようとしているのか(全国一斉学力テスト―学力をつけるためなのか;教師に対する管理と統制―何をもたらしているか;寛容なき厳罰主義“ゼロ・トレランス”―子どもが育つ環境なのか;学校選択制―格差社会か共生社会か;心の支配―子どもに何が起きるのか)
3 提言・私たちが求める教育改革とは
著者等紹介
藤田英典[フジタヒデノリ]
1944年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。スタンフォード大学教育系大学院修了(Ph.D.)。専攻は教育社会学。現在、国際基督教大学教授。日本学術会議会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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星辺気楽
4
第一次安倍内閣のときに書籍であるが、短い期間に「教育基本法」を改正してしまい、免許更新制とかろくでもないことばかりして学校教育の悪化を招いた。憲法改悪にも続く「教育再生」論議は国家至上主義の道のりでもある。2014/04/27
客野
1
安倍Ⅰのときの教育基本法改正、教育三法改正への批判だったけど、納得すること8割、首をひねること2割だった。ひねるというよりは「これはちょっと理想主義が過ぎるんじゃないかなあ」というのが正しいか。公教育は性善説で成り立つ必要がある、成り立つことが求められるのだと実感。特に「厳罰主義はやめるべきだ」というくだりは、確かに言っていることはわかるのだけれども、ちょっと納得しかねる。教員の大変さを説いているが、もしこんなことまでやってたら間違いなくパンクする。もう少し現実に即した案を提示してほしい2016/07/30
鵜殿篤
0
【要約】臨時教育審議会以後の官邸主導による新自由主義的な教育改革、特に小泉政権と第一期安倍政権による教育改革は、教育を破滅させる愚行です。 【感想】本書は、教育基本法改正直後に、教育専門家たちが抱いた危機感が表明されている。2007年段階で「私」と「公」に挟み撃ちになって疲弊していく公教育の姿が浮き彫りにされている。そして残念ながら、その危惧は10年経って現実のものとなっている。2017/12/10
依
0
学力低下が問題になり、政府があらゆる対策を講じようとしている中、改正された教育三法。そもそも女性の社会進出を目指している中で、働く母親が家庭で子どもと触れ合う時間なんて微々たるもの。理想ばかりをあれこれ詰め込んだ歪みが出ているのではないか。そしてお金をかける場所を間違っている。子ども自身の利益のために、保育園や学童の充実を図ることの方が先な気がする。今は教師もたりない。教師が長く意欲的に仕事ができる環境作りを。2016/12/17
ひろけん
0
こういった批判の仕方は感心しませんね。いかに改悪との信念だとしても、ひとまず改正に至る政府の現状認識や経緯、施策の狙いや期待される効果等を提示した上で、その内容の吟味ー現状認識の齟齬や施策の妥当性又は『原理的』(法的、制度的)問題点や効果等を、『ニュートラルな』形で検証を加え、その上で本質的な問題としての自身の主張を展開すべきでしょう。それらをすっ飛ばして『改悪』による教育の危機等と云々する論旨は、その内容からしても、もはやアジテーションとしか読めない。誰のためかと言いつつ、子どもたちの顔が見えてこない。2015/04/24