出版社内容情報
少子化のスピードが加速している。この30年で出生数は半減、今世紀半ばには現在の約3分の1にまで落ち込むという予測も出された。なぜここまで深刻化したのか。その決定的な理由を探るために、若者の不安定な職業状況、「パラサイト・シングル」の誕生、恋愛・結婚観の変容などを分析。少子化論議に一石を投じる必読の書。
内容説明
少子化のスピードが加速している。この三〇年で出生数は半減、未婚率は急上昇し、日本は人口減少時代に突入した。なぜここまで深刻化したのか。その決定的な理由を探るために、若者の不安定な職業状況、様々な格差の拡大、パラサイト・シングル現象の進行、恋愛・結婚観の変容などを分析。とるべき少子化対策は何かを考える。
目次
序章 少子社会日本の幕開け
第1章 日本の少子化は、いま
第2章 家族の理想と現実
第3章 少子化の原因を探るにあたって
第4章 生活期待と収入の見通し
第5章 少子化はなぜ始まったのか―一九七五~九五年
第6章 少子化はなぜ深刻化したのか―一九九五年~
第7章 恋愛結婚の消長
第8章 少子化対策は可能か
著者等紹介
山田昌弘[ヤマダマサヒロ]
1957年東京都生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。東京学芸大学教育学部教授。専攻、家族社会学・感情社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
314
日本が少子化する原因などが、どこかの只々産めよ増やせよと説教しか出来ない年寄りと異なり、きちんと分析されていた。逆に昔は単純で良いなと思った。しかし本書は10年前くらいに発刊されたのにまったく色褪せないことに驚いた。それだけ日本社会に大きくブレずにのしかかっているんだなと実感した。2016/05/27
うえ
14
欧州でも「80年代に出生率が下がる一方だった国々がある。イタリア、スペインなどの南欧諸国と西ドイツである。南欧…は日本と同じように、結婚するまで親と同居する習慣が強い…70年代に入り、イタリアでは…経済成長の反動があり、成長率は鈍る。その結果、若年男性の収入が相対的に低下し、親同居未婚の女性の結婚相手が少なくなるという、日本と同じロジックが進行した…ドイツは…成人すれば親から独立して生活することが一般的…しかし、専業主婦志向が強く(子育て労働の条件が整うのが遅れ)起きたのは、既婚夫婦の出生率の低下である」2018/07/30
ゆう。
13
少子化は、その現象を科学的に分析することはとても大切なことです。しかし、結婚や恋愛、子どもを産む産まないは、国家が介入するべきではありません。著者は、そこを慎重に扱って分析していると思いました。内容は、必ずしも僕の意見と一致しているわけではないですが、希望の持てる社会を築くために、誰もが安心して暮らせ、見通しがもてるよう、労働市場をはじめ働く環境や社会保障充実などが求められます。ただ、パラサイトシングルなど少子化要因としてどこまで科学的証明が出来ているのかは、この本を読んでも課題として残ると思いました。2014/01/27
tolucky1962
10
日本の少子化問題を正面から捉える。若者の経済的な問題が最大の原因とする。格差と雇用状況を直さないとならない。それとともに日本文化として親が子をつけ放さないためにおこるパラサイトシングルも問題。恋愛の自由化と結婚との分離も。他国とも比較し現状の対策の問題点と対案を提供している。若者が本当は結婚し子供を持ちたいんだからそのうち何とかなると思っていて、したくてもできない経済的状況であることに気づかなかった政治家官僚の責任は大きい。2015/09/18
Ayakankoku
7
15年以上前に書かれた本。コロナ禍になり未婚化、少子化にまた大きな変化があったのだろうと思う。その辺りも気になる。諸外国の状況など含めて勉強になった。2022/06/04