岩波新書
労働ダンピング―雇用の多様化の果てに

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  • サイズ 新書判/ページ数 229,/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004310389
  • NDC分類 366.21
  • Cコード C0236

出版社内容情報

働いても働いても生活できない、健康に生きられない・・・。
人間の労働が商品以上に買い叩かれている。派遣、パート・アルバイト、偽装請負・・・働く現場で、何が起きているのか?

内容説明

人間の労働が“物件費”に組み込まれ、商品以上に買い叩かれる。競争に競り勝って仕事を得ても、正社員とのポスト争いで泥沼。働く現場がダンピング攻勢にさらされている。有期雇用・派遣・パート・偽装請負…雇用の液状化現象が働き手を襲う生々しい現状報告。一人ひとりが人間として働き生きるためのオルタナティブを考える。

目次

第1章 いま何が起きているのか(「雇用の融解」がはじまった;労働ダンピング;なぜ労働の商品化がすすむのか)
第2章 ダンピングの構造(非正規雇用化;競争と格差;値崩れの連鎖;拡大していく貧富の格差)
第3章 労働は商品ではない(労働のルール;規制緩和が非正規雇用を襲う;働き方が変わる;正規雇用の融解を促進させるもの)
第4章 隠された差別を可視化する(格差問題へのアプローチ;性差別禁止からのアプローチ;非正規雇用の均等待遇保障;持続可能な雇用システム)
第5章 現実の壁に向かって(ダンピング最前線に立つ公共セクター;安定した雇用を実現する;非正規雇用に正義を;正規雇用にディーセント・ワークを;契約形態を乗り越えて)

著者等紹介

中野麻美[ナカノマミ]
1975年北海道大学法学部卒業。79年弁護士登録(東京弁護士会)。現在は、NPO派遣労働ネットワーク理事長・日本労働弁護団常任幹事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐島楓

31
ジェンダーの視点からの格差に関する言及がよかった。女性に生まれたことがリスクになる社会であってはいけない。自分も女性だからわかることだけれど、女性も女性を厳しく差別する面があるのだなあ・・・。2015/09/05

無識者

13
労働ダンピング(労働力を安く買いたたくこと)について弁護士の方がかかれた本。いろいろな論点を扱っていたのが良かった。男女の役割分業による女性買いたたき、正規・非正規格差、官製ワーキングプア…働いても金が得られないのがつらいですね。個人的に先行きが不安ですが、ポスト規制緩和も気になるところです。2016/08/25

aika

7
諸制度の説明やデータがふんだんに盛り込まれていたので、飲み込みながら読み進めることが難しかったです。非正規雇用の実態の側面として挙げられる「労働の商品化」という言葉が衝撃でした。人間が人間らしく働くという尊厳が守られず、労働をとおして死の淵まで追いやられている人々が確かにいるということ。この本に書かれていることは労働の流動化をあくまでも一側面からみたものですが、事実でもあるとすれば、課題克服の方途を社会の構成員であるひとりひとりが模索し続けていかねばならないと思いました。2014/10/25

Rusty

3
筆者の主張は分かるし正しいと思うのだけれど、非難一辺倒で途中から食傷気味になった。2012/11/28

ango28

3
1Q84を書いた村上春樹は、今は物語が力を持つ時代と言った。そう、この書に惹かれないのは人の物語が欠落しているから。虐げられた人に纏わる学問であるのに、そこにあるのは人の不在。理論でもって心に訴えることなんてできないんだと本書の趣旨とは外れた所で納得。学術用の専門書。その域を超えない。2010/04/28

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