岩波新書
自殺予防

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  • サイズ 新書判/ページ数 223,/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004310280
  • NDC分類 368.3
  • Cコード C0236

内容説明

年間自殺者三万人超という深刻な事態が一九九八年から続いている。国としての対策も動きはじめた今、自殺を防ぐために知っておくべきことは何だろうか。自殺という死の実態、自殺に至る心理、心の病、とくに「うつ病」との関係、遺族に対するケア、国内外での先進的な取り組みなどについて、事例も交えて具体的につづる。

目次

第1章 自殺という死(青木ヶ原樹海からの生還者―自殺と記憶喪失;自殺は「強制された死」である;日本における自殺の実態;世界との比較から;年齢によって異なる危機;マスメディアの影響―群発自殺とネット心中)
第2章 自殺の心理(自殺の危険をどうとらえるか;自殺する人と自殺しない人の違い;「自殺したい」と打ち明けられたら;どのようにして受診につなげるか;自殺の心理に関連していること)
第3章 こころの病と自殺(治療を受けずに自殺する人びと;自殺予防とうつ病治療の関係;うつ病とは;うつ病の治療)
第4章 自殺予防の取り組み(国連による自殺予防ガイドライン;フィンランドの実践;新潟県東頚城郡の自殺予防活動)
第5章 家族を支える、遺族をケアする(家族が抱える問題と自殺行動;自殺予防に不可欠な家族の協力;自殺が起きたときの遺族へのケア;芽生え始めた自助グループ;ポストベンションは次の世代のプリベンション)

著者等紹介

高橋祥友[タカハシヨシトモ]
1953年、東京生まれ。1979年、金沢大学医学部卒。医学博士、精神科医。1987~1988年度、フルブライト研究員(UCLA)。2002年より防衛医科大学校防衛医学研究センター行動科学研究部門教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

めっし

17
自殺に関する臨床的な対策だけでなく、国際的な動向も紹介している入門書。知識の補充に役立った。自殺の原因を単純な因果関係で(場合によっては感情論的に)語ることが、いかに適切な対処の妨げになっているか、現在テレビやネットを賑わす大津の事件と関連付けながら読んだ。自殺の最大のキーワードが「孤立」であること。これを防ぐことが求められる。孤立させない、孤立の思考に陥らせないこと。ただ、自殺の原因としての最も重要な「鬱」については、従来型の鬱の記述のみで、「新型鬱」に関する記述が抜けている点がこの著書の問題点。2012/07/16

Riopapa

10
自殺のキーワードは「孤立」。要因は複数が絡み合う。フィンランドの学校が行なっているのは、学校でできそうなことは自尊心を高める、コミュニケーション能力を高める、問題解決能力を高めるといったこと。2017/06/03

7
読みやすい。個人的に高齢者層の自殺が多いことに衝撃を受けた。大きく報じられるものは青少年が殆どなので、決して若い年代に限った問題じゃないこともきちんと理解していきたい。自殺の動機は一つじゃない、様々なことが重なった上での悲劇だということを自分の中に落とした上で、報道を見ることも大切。本人だけじゃなく、周りにも目を配り、話を聞く。身近なことだからこそ、きちんと知っておきたい内容。2012/10/19

ヒャクパー

6
非常に面白い。「うつは甘え」「死ぬ死ぬと言っている人間は死なない」といった世間一般の知識を真っ向から否定。政府発表の自殺のデータにも疑問を投げかけ、自殺者の心理にも迫る大変興味深い一冊。値段も手頃。少々古くても(初版が2006年)十分読む価値はあり。気になったことは、古い分、うつ病に関する記述、治療法が若干古いことぐらい。そういう人は、別に専門書を読んでほしい。2015/10/16

冬月

6
「深刻な相談をしたいと考えていても、なかなかすぐには本題に入れない。当たり障りのない、あえて誰かに訪ねなくても、自分でも答えの分かっているようなことについて話し出すかもしれない。そのようにして、相手の反応を見ている。「真剣に話をきいてくれている」と感じると、より深刻な内容について話し始めるのだ。したがって、相談を持ちかけられた人は、最初のありきたりの相談がひとまず片付いたと感じたら、それで終わりとするのではなく「他にも何か困っていることはないのかい?」の一言を付け加えてほしい。」p922013/05/07

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