岩波新書
ヨーロッパ市民の誕生―開かれたシティズンシップへ

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  • サイズ 新書判/ページ数 206,/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004309253
  • NDC分類 316.83
  • Cコード C0236

内容説明

地域統合と分権化が深まり、外国人労働者や難民の定住もすすむヨーロッパ。国民国家のありようが問い直される中で、国籍や社会的諸権利の考え方も大きく変わりつつある。この動きは日本社会にどんな意味があるのか。長らくヨーロッパ社会を観察してきた社会学者が、多層化するシティズンシップの行方を探り、新しい社会の姿を描く。

目次

序章 なぜシティズンシップなのか
第1章 再生するネーション
第2章 言語、アイデンティティ、シティズンシップ―カタラーナの世界
第3章 新しい移民大陸ヨーロッパ
第4章 どのようにシティズンシップを保障するか
第5章 EUシティズンシップの理想と現実
第6章 移民とローカル・シティズンシップ
第7章 家族、ジェンダー、平等―少数派からのシティズンシップ要求
第8章 逆風とチャレンジ

著者等紹介

宮島喬[ミヤジマタカシ]
1940年東京に生まれる。1967年東京大学大学院社会学研究科博士課程中退。専攻は社会学。立教大学社会学部教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さなぎ

1
最近、国体ということにも興味があるが、国体とシティズンシップは繋がっているものだとも感じた。単一民族国家というと怒る人がいて、事実純粋な単一民族国家でないことは事実だが、さりとて、多くの人が単一民族国家だと思っているこの国では、多民族と交わることで生じるシティズンシップの軋轢はない。そのことがシティズンシップ教育が、なされず、そして民主主義の主体たる市民となりえないこの国の国民の根源について少し考えが深まった、そんな一冊でした。2022/02/23

ZEPPELIN

1
ヨーロッパが通貨の統合を始めとして「ヨーロッパ市民」を目指すこと自体は素晴らしい。ただ、なぜ島国の日本と陸続きのヨーロッパを同列で語るのだろうか。難民受け入れだって、仮に推進したら「日本憎し」で70年前から思考が止まってる人々も流入してくる可能性をよく考えたのだろうか。ユーロにはイギリスが不参加、ギリシャの債務危機の時のドイツの反応を見たって、どう考えても一枚岩ではない。「開かれた」なんてサブタイトルにつける割に、随分と「ヨーロッパは日本よりも善」という閉鎖的な脳みそをお持ちの著者である2014/02/01

rbyawa

1
対立の構造を国や地域、民族などの単位に別けて、さらにその上に存在する超国家機関を語るという体裁の本で、なんというのかなー、EUの現状というよりはEUによってもたらされた対立の構造変化(各国家内にある独自の歴史を持つ地域が、国家は認められなくてもさらに上のEUの傘下に入ることはいとわなかったという形で)が語られ。ただしそれで解決しない問題がある、などという例外もあげています、ヨーロッパからは離れますがカナダの国体がそもそも二つの民族(英仏)の共存によって作られた、というのもちょっと面白かったな。2010/09/23

有智 麻耶

0
シティズンシップの基礎文献として参考にした。序章で、シティズンシップを「国籍」「諸権利」「実感」に分けて論じているのが面白い。特に、個々のアイデンティティが政治的争点となる今の状況を見ると、主観的にシティズンシップを「実感」できるような施策を打っていく必要があるというのは納得がいく。当然、ヨーロッパの事例を日本にそのまま適応することなどかなわないが、日本にとって耳の痛い問題を叩きつけられていることに変わりはない。実際、在日朝鮮人について合理的配慮の視点から語れる人は、残念ながら多くはないのだから。2016/05/02

モリケン

0
日本ではまだまだ移民や移動という考え方がほとんどされないが、ヨーロッパでは当然のこととして受け入れられており、法整備も進んでいる。日本が遅れているとは思わないが多民族国家との大きな違いを感じさせられた。2015/02/24

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