内容説明
全国各地に残る数多くの伝説、そして彼の名前に由来する「判官びいき」という言葉―このように今なお高い人気をもち、日本史上最も有名な英雄となっている源義経とはいったいどういう人物だったのか?義経に関わる文書・記録や物語類などを広く探索して、単なる「悲劇のヒーロー」ではないその実像と魅力の秘密に迫る。
目次
1 幼きころ―史料の性格を考える
2 童の時代―『平治物語』の世界
3 英雄への階梯―『義経記』の世界
4 英雄時代―『吾妻鏡』の世界
5 義経の力―文書から探る
6 合戦の英雄―合戦記と物語
7 頼朝との対立―書状の役割
8 落日の義経―宣旨と院宣
9 静の物語―『吾妻鏡』と『玉葉』
10 奥州の世界へ―記録と伝説
著者等紹介
五味文彦[ゴミフミヒコ]
1946年山梨県に生まれる。1970年東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、東京大学大学院人文社会系研究科・文学部教授。専攻は日本中世史
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感想・レビュー
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だまし売りNo
29
義経の戦術は奇襲や船の水夫の狙うとという敵には卑怯に映るものであった。一方で戦いを早く終わらせた点で民衆の負担は減らしている。ここは長期戦でもいいから安徳天皇と三種の神器を確保して朝廷交渉を有利に進めたいという頼朝の政治方針と対立した。これは無断任官以上の対立軸であった。義経が民衆のヒーローになることも理由がある。 2022/10/08
niwanoagata
16
申し訳ないが、読んでてつらい。研究書ではなく一般書なのでその通りかもしれないが、著者の研究成果がほぼ見られない。淡々と通説を詳しく史料を使い書いているだけ。もちろん史料が少ない時代なので、こうなるのも仕方ないのだが。細川重男みたいなのを書けとまでは言わないが、研究成果を書いたわけではないなら、もう少し読みやすく工夫するとかできないものか。まぁでもその分下手な嘘も無いので、ひたすら史料から見た義経像が使いたければ、これが良いかなと。要するに普通。唯一、弁慶と義経は対比と言うのは面白かった。2020/05/19
波 環
3
この時代は意外に一次史料が少ない。頼朝が家族を上手く生かしておいたら、鎌倉三代で将軍が断たれることもなかったのかと思う。 サステナブルな体制作り難しいものだ。2022/05/16
Takao
3
2004年10月20日発行(2004年12月3日、第3刷)。2005年の大河ドラマが「義経」だった。当時既に著者の『大系日本の歴史5・鎌倉と京』を読んでいたこともあって、その頃求めたもの。本書は、史料を駆使して、伝説的なヒーロー義経に迫るが、義経に関してはのちの時代に書かれたものも多く、「実像」を探るのは至難の技なのだろう。どうしても大泉洋扮する頼朝が脳裏に去来してしまうが、義経を通じて、頼朝を知ることもできた。頼朝は「義経」を口実に朝廷から様々な権限を奪うことにも成功していることも改めて知った。2022/02/27
波 環
3
新しいことを、力のまかせに、本人なりにはルールに沿って進めたもののハシゴを外される、ホリエモンのライブドア事件みたいみたいなものを思い出しました はじめは時代の寵児とされていたのが、目ざわりになった時点で消される存在 元気な若者は、角を撓めるか、角がささってどこかに挟まって動けなくなるか そんな感じなもこです2018/12/20
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