岩波新書
安心のファシズム―支配されたがる人びと

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  • サイズ 新書判/ページ数 232p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004308973
  • NDC分類 316.1
  • Cコード C0236

出版社内容情報

人間の尊厳を冒され,道具にされる運命をしいられるにもかかわらず,それでも人びとはテクノロジーのもたらす利便性を追求し,そこに「安心」を求める.自由から逃走し,支配されたがるその心性はどこからくるのか.

内容説明

携帯電話、住基ネット、ネット家電、自動改札機など、便利なテクノロジーにちらつく権力の影。人間の尊厳を冒され、道具にされる運命をしいられるにもかかわらず、それでも人びとはそこに「安心」を求める。自由から逃走し、支配されたがるその心性はどこからくるのか。著者の長年の取材、調査、研究を集大成する渾身の書き下ろし。

目次

第1章 イラク人質事件と銃後の思想
第2章 自動改札機と携帯電話
第3章 自由からの逃走
第4章 監視カメラの心理学
第5章 社会ダーウィニズムと服従の論理
第6章 安心のファシズム

著者等紹介

斎藤貴男[サイトウタカオ]
1958年生れ。早稲田大学商学部卒、イギリス・バーミンガム大学修士(国際学MA)。「日本工業新聞」記者、「プレジデント」編集部、「週刊文春」記者を経て、フリージャーナリスト
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

373
「自己責任」とともに新自由主義を受け入れた社会は、1%の富裕層と99%の貧者との分断が固定化してゆくだろう。それが資本主義が纏う最後の姿なのだから。オーウェルの『1984年』はディストピア小説ではなく、予見の書であった。しかも、もはや後一歩というところまで。例えば、顔認証とケータイGPSによる国民の徹底管理はもはや中国だけではない。また政治家たちが国会で話す言語は、我々と意思の疎通をなさなくなっている。「説明を尽くす」というのは、すなわち有耶無耶にするというのであるから。教育もまた危機的な状況である。⇒2022/10/08

黒猫

20
ファシズムとは何かを知りたかったが、あまり書かれていなくて残念でした。2000年代前半。監視カメラや教科書採択問題、国旗国歌法案、インターネットの普及、イラク戦争などのキーワードが並ぶ。ファシズムを語った本というよりは、何となく焦臭い感じの日本を語った社会論のようか気がする。出版から 15年経って読んでみたが、監視カメラもGPSももう当たり前になりすぎていて、これをファシズムとは言えないのだろうなあと思う。詰まる所、今の国際社会にとってファシズムとは何かという疑問が残った。2018/05/15

おおにし

18
凶悪犯罪やテロのない安心な社会がほしいと、我々が安心を望むこと自体は間違ってはいない。しかし、安心な社会を望むことが監視社会の強化につながれば、我々のプライバシーの自由が損なわれることにならないだろうか。そしてそれがファシズムへの道につながっていく恐れはないか。この本を読んでフロムの「自由からの逃走」は必読書だと思った。2017/09/17

魚京童!

16
楽なんだよね。指示待ち人間って。文句だけ言ってればいい。指示が悪い。もっと考えろ。しょうがないよね。幼稚園児なんだから。私が指示してあげる。っていうヒトラーが出てきた。自分で考えることこそ至高と思ってるけど、思わない人が多い。哀れな人生を送ってきたのだ。考えることをさせず、従うことだけ押し付けられてきた。教育から変えるべきだとか壮大な実験に興味はない。私に火の粉を振りかけるなって思う。邪魔をするなってだけ。だから私はアイヒマンになれる。喜んで、運ぼう。それが難しいところだ。支配‐被支配と無関心。その3者が2020/06/06

はるわか

16
騙されつつ、しかし多くの人々は自らの置かれた立場にどこかで感づいている。積もり積もった不満や不安を、だからといって権力を有する元凶にぶつければ報復が怖い。より立場の弱い人々に八つ当たりし、あるいは差別の牙を剥いて、内心の安定を図るようになっていく。自由からの逃走。自動改札機と携帯電話。監視カメラの心理学。社会ダーウィニズムと服従の論理。2018/11/25

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