岩波新書
大黒屋光太夫―帝政ロシア漂流の物語

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  • サイズ 新書判/ページ数 243p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004308799
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0221

出版社内容情報

鎖国下の1782年,駿河湾沖で遭難した廻船・神昌丸の乗員らが,漂着先のロシアで見たもの,体験したこととは? 船頭・光太夫らの10年にわたる漂流・漂泊の軌跡とその数奇かつ壮大なドラマを多数の新発掘史料もまじえて描く.

内容説明

鎖国下の一八世紀後半、廻船・神昌丸が駿河湾沖で遭難、乗員らは漂着先のアリューシャン列島からシベリアへ渡った。立ちはだかる言葉の壁、異文化体験の衝撃、帰国を阻むロシア側の思惑…。帝都ペテルブルグでついにエカテリーナ二世への直訴を果たし、十年ぶりに帰国した船頭・光太夫らの数奇な漂流・漂泊の軌跡を新史料を交えて描く。

目次

序章 赤蝦夷の噂
第1章 頼もしき若松浦衆
第2章 遭難、そして漂流
第3章 霧と風の島アムチトカ
第4章 カムチャツカからシベリアへ
第5章 イルクーツクでの望郷の日々
第6章 帝都サンクト・ペテルブルグ
第7章 ロシアの黒船と蝦夷地
第8章 鎖国下の日露交渉
第9章 大江戸暮しとなった伊勢二漂民
終章 使節レザーノフの長崎来航

著者等紹介

山下恒夫[ヤマシタツネオ]
1939年東京に生まれる。1964年早稲田大学文学部卒業。雑誌「中国」(竹内好主宰)編集者を経て現在、漂流記研究者
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Tadashi_N

25
酷寒の地で生きることは、壊血病との戦いだった。奇跡的な日本への帰還と、その後の半幽閉生活。2019/06/03

えすてい

5
今年は大黒屋光太夫の没後190年。光太夫に関しては江戸時代の漂流民の中ではもっとも有名な人物の一人なので、小説でも歴史関係書物でも幾度と取り上げられてきたが、この本は「新書版ノンフィクションライトノベル」という感じか。平易な文章で「読みやすさ」もあり光太夫の予備知識があれば数時間で読破できるが、専門的な「歴史書」としては薄っぺらいのは致し方ない。歴史学者は「フィクション」である小説を嫌いとことん避ける傾向にあるが、光太夫に関しては、「フィクション」である小説や歴史書を色々と読み比べる必要がある人物だ。2018/01/07

greenman

4
以前から大黒屋光太夫とその船員が体験した漂流とロシア旅行について興味があり、本書を読んで彼らがどのように極東ロシアからロシアの中心であるサンクトペテルブルク(当時)という異国の地で生活していたかを知ることができました。彼らは長年に渡るロシアで生きることを選択した人もおり、最終的に日本に帰れたのは光太夫と磯吉と小市(北海道内で死亡)の3人しか帰れませんでした。徳川幕府下の日本は海外からの影響に非常に神経質で、日本漂流民を連れてやってきたラクスマン使節も漂流民を受け入れつつもロシアとの貿易はやんわりと拒絶した2013/05/22

たまゆり

3
江戸時代にロシアに漂流してしまった大黒屋光太夫について気になったため、本書を読んだ。漂流し、極寒のロシアで苦しみ、ともに船に乗っていた十七人の内二人しか生きて帰れなかった。このような事実は知らなかったので、次々と仲間が亡くなっていく様は読んでいて辛かった。言葉も文化も違う地での生活は苦しいに決まっている。作者の空想が入っているとしても事実に近いように思えた。人物の情報など詳しく書かれており勉強になった。ロシアの人々の温かさに感動する作品だった。2014/06/20

2
『おろしや国酔夢譚』で名高い大黒屋光太夫の漂流から帰国、晩年までの概説であります。学術的な考証、検証のたぐいは控えめで、全体に物語調。そのため読みやすいのですが、史料集という点ではやや不満かも。光太夫一行への厚遇は通商にかけるロシア側の期待の大きさを反映したものだったのでしょうが、それを知るほどに鎖国に固執した日本側の旧弊がまことに残念。ロシア人たちの誤解に乗じて巧妙に立ちまわった光太夫の意外なしたたかさ、同じく日本に帰国した磯吉の生々しい見聞などもあり、美談では終わらない一冊です。星4つ。2014/12/08

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