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岩波新書
鞍馬天狗

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  • サイズ 新書判/ページ数 205,/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004308515
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0293

出版社内容情報

大佛次郎の鞍馬天狗は,大衆文化の名作として,また多くの作品が映画化され,今なおその人気は高い.47本にのぼる全作品を「人を斬る」ということに焦点を合せて読みながら,その変遷をたどり,鞍馬天狗の全体像を論じる.

内容説明

鞍馬天狗は日本人がもっとも親近感をいだくヒーローの一人であろう。生涯に一八一人の人を斬っているが、斬り方や斬る意識が時代によって変わっていく。鞍馬天狗が人を斬る目的は何だったのか、人を斬ることを反省したことはなかったのか。シリーズ四七本の全作品を読みぬいて、これら鞍馬天狗をめぐる謎を解き明かす。

目次

1 鞍馬天狗と遊ぶ(人を斬る;敵を殺せ;一度死んだ鞍馬天狗;人を殺してはいけない)
2 鞍馬天狗の歴史観(攘夷;鞍馬天狗の歴史性;討幕;鞍馬天狗の革命観;鞍馬天狗と明治)
後書―アラカンの映画「鞍馬天狗」について

著者等紹介

川西政明[カワニシマサアキ]
1941年大阪市に生まれる。1965年中央大学卒業。河出書房新社に入社、文芸編集者生活を経て、三十年間文芸評論活動に専念
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

i-miya

23
大阪市生まれ。1965中央大学卒業。河出書房新社入社。大江健三郎。埴谷雄高から吉本ばななまで。『文士と姦通』。(人名) 有栖川宮たる仁親王、井伊直弼、岩村具視、大久保利通、大原重徳、小栗上野介忠順、勝安房守、桂小五郎(木戸孝允)、久坂玄瑞、倉田典膳(=鞍馬天狗)、孝明天皇、後藤象二郎、近藤勇、西郷隆盛、坂本龍馬、山岳党の首領、三条実美、島津久光、杉作、徳川慶喜、中山忠能、パークス、土方歳三、山岡鉄舟、吉田松陰。(後書) 嵐寛十郎。181人の人を斬る。2010/06/30

黙れ花咲舞・寺

22
先日つるけんたろうの漫画『0円で空き家をもらって東京脱出!』(朝日新聞社)を読んだ。著者のつるけんたろうは大佛次郎『鞍馬天狗』を愛読書にしていると知り、何だか羨ましくなった。私は『鞍馬天狗』を少ししか読んだ事がないが、大佛次郎の文章が苦手で、その作品世界を心底楽しめなかった。代わりにこの本を読んだが第一章『鞍馬天狗と遊ぶ』がよかった。シリーズを読み、彼が斬った数をカウントして行く。斬った数何と181人。人斬り以蔵なんか目じゃない。幕末の暴力の最前線である。やはり天狗の魅力は嵐寛寿郎のものである。2014/12/04

Kentaro

12
鞍馬天狗は尊皇攘夷と討幕を唱えて義挙した天誅組とも考えられた。第一作では、新選組が京都にやって来るのを阻止させるために鞍馬天狗と同士が密書をもった相手を待ち伏せする設定になっている。初期の鞍馬天狗は薩摩長州を中心にした討幕運動の中で鞍馬天狗が活躍する。 その後、鞍馬天狗は攘夷のために血を流さなければ改革はできないと、幕府を追い詰め討幕へと導く。 蛤御門の変で破れた長州を倒そうとする会津藩士を切りつける。 作者の大佛次郎には明治の新政府は謀略と密約によって捏造された権威であると考えていたのではないか。2018/12/16

ワッピー

6
映画では見ていませんが、朝日文庫版+全集端本である程度の天狗シリーズは読みました。第一部での全作品の紹介は、通史として見渡すという意味ではなかなか親切な本です。第二部の「鞍馬天狗の歴史観」では、現実の幕末史をなぞることで、明治維新の胡散臭さを浮き彫りにして、明治の鞍馬天狗(海野雄吉)の新政府への批判的な意味合いも見えてきます。第一作では講談調の書割的な存在で、主人公ですらなかったのに、少なくとも小説上においては、その立場が変容していった、ある意味成長したキャラなのでしょう。また、読んでみようかな・・・2016/06/19

がんぞ

5
大正時代の鞍馬天狗は、倒幕を正義として「密書を持った者を探している」詮議を拒めば殺してもいい、という腕力勝負/昭和になり少年誌掲載の杉作登場『角兵衛獅子』では、近藤勇が幕府側ながら良い男、新撰組と厳しい規律で忠義を尽くした武士と描かれ/戦争末期に書かれた『鞍馬天狗敗れず』では阿片密輸を告発した天狗は力関係で黙認の政府により刑死…/戦後には探偵役で復活/映画で嵐寛寿郎は浪人髷に頭巾というスタイルを案出して一大ブームとなった40本。嵐の練達の剣術は竹光で六尺棒を斬った。原作者の「人を殺しすぎる」非難で中止と2022/06/27

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