出版社内容情報
人生を生きてきた末の議論として「神は本当にいるのか」を再び語り合う2人.信じることとは何か.信仰・教義のみでも,社会的側面のみでも,宗教がとらえきれない現在,どういう見方がありえるのか.示唆に富む対話が重ねられる.
内容説明
大学時代の友人で精神科医となった二人が「人生を生きてきた末」に、かつて交わした議論を再開する。神は本当にいるのか?現代を新しい形の宗教に呪縛された時代と見ながら、教義や信仰のあり方からではなく、「信じる」ことを求めてしまう人間の方から、宗教とは何かを考えていく。精神医療から社会、歴史まで問いを重ねる対話篇。
目次
序章 Tの訪問
第1章 信者にもいろいろある
第2章 教義より重要なのは
第3章 宗教は集団精神療法だったか
第4章 二千年の後退り?
第5章 後退りの結果
第6章 狂いによって狂いを治す
第7章 精神医療という宗教
第8章 宗教は死なず拡散した
第9章 葦の髄から永遠をのぞく―狂気と習慣
著者等紹介
なだいなだ[ナダイナダ]
1929年、東京生まれ。1953年、慶応義塾大学医学部卒業。フランス留学の後、慶応病院神経科や国立療養所久里浜病院などに勤務するとともに、小説、エッセイ、評論を発表。現在、作家・精神科医
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
秋 眉雄
16
キリストはローマ法王を見てどう思うのか。2022/04/27
陰翳rising sun
11
ひとりでいる不安から逃れるために、人はみなコミュニティに参加する。すると、連帯感によって心の平穏を取り戻す。大学に入学してすぐのときに、こぞって部活やサークルに参加したがるのは、こういう心理なのかな。同じ考え、自分に似た人の中にいることで、安らぎを覚えることができる。その中に、カリスマ性と影響力を持つ火とがいれば、教祖になり宗教へ発展するのかも。コロナ禍において誹謗中傷が絶えないのは、自分の考えと似た人同士が一体化するせいなのかな。つまりは集団的狂気に肩まで浸かることで、みんなそうなのだと安心したい心理。2020/09/21
寛生
11
前半よりも後半がとくに深い。精神科医からの視点で、人間が国家、宗教、神、戦争など集団妄想をもつ危険性、また、心理学、または精神科の治療自体と社会背景との関連性について言及している。対話形式で書かれているので、フィクションらしいその真理も語られていると思うし、専門家としてのきちんとした学識もあり、それがとてもいい。そして、精神科医療自体の反省点とその後の改善点などにもふれているし、「神が死んでも宗教は死なない」というのはなぜか、我々読者が注意深く読み進め、理解を深めていけるはずだ。2012/10/24
訃報
7
読みやすいけど大したこと書いてなかった。真正天皇さんのエピソードはちょっといいなと思った。ああいうエピソードだけまとめた本を読みたい。外側から宗教を考えるんじゃなく、宗教を体に取り入れて生きている人が持っている独自の論理、社会にない、僕の知らない思考回路に興味がある。2015/01/18
おぎゃ
6
この人の文体が好きで何冊か読んでいる。言葉選びが独特で、医師であるせいか、奇抜でないが独特の正確な押し込みがある。2021/01/29