出版社内容情報
「大きいと大きなはどう違うのか」「私のこと好き?」のこととは何なのか.質問に答えながら,日本語とはどういう言語なのか,どこから来たのか,どう変っていくのかを明快に語る.これまでの研究の成果を注ぎ込んだ渾身の書下ろし.
内容説明
日本語はどういう言語なのか。日本の文化・文明とどうかかわって来たのか。質問に答えながら問題の核心に迫って行く。日本語はどこから来たか、いかに展開して来たか、日本語の過去のみならず現在を見据えて、将来日本人は文明にどう対処すべきかを語る。著者の生涯を懸けた見解をあますところなく披瀝する渾身の書き下ろし。
目次
第1部 さまざまな質問に答えて(日本語がよく書ける、よく読めるようになるには…;「私のことを打った」など、ことをつけるのはどうしてですか;仮定のことを言うのに過去形を使うのは何故ですか;日本語が南インドから来たとは本当ですか ほか)
第2部 日本語と日本の文明、その過去と将来(漱石や鴎外は『源氏物語』を読んだでしょうか;漢文の学習を復活させたいのですか;戦争に敗けることが言葉に影響するものなのですか;漢字制限はよいことだったのではありませんか ほか)
著者等紹介
大野晋[オオノススム]
1919年東京に生まれる。1943年東京大学文学部国文学科卒業。専攻は国語学。現在、学習院大学名誉教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
山口透析鉄
27
これは甥にあげるつもりでe-homで注文して購入し、クリスマスの前に一読しました。 大野晋氏はさすがに大日本語学者なので、助詞「へ」「に」の使い分けや日本語の起源、あるいは日本語と脚韻の相性の悪さ(定型詩で脚韻等が普及しなかった理由の考察)等々、回答内容が非常に鋭い項目が多いです。漢字制限の諸問題や漢籍とロゴスの問題、ひいては日本の教育問題に通ずる考えには賛否もあるのでしょうが、母語での論理的な思考は全ての基礎になるので、疎かにして良い筈もないです。さすが日本語のプロの本でした。オススメです。2023/12/23
しげ
27
南インドのタミル語が日本と類似した言語が沢山有る事に驚きです。研究者の著者は既に鬼籍入りとなっていますが、死後、日本語の起源として研究内容が評価された形跡は無く残念に感じます。歴史認識は様々で本当の所は分からない事も多いと思います。仏教発祥のインドから何れかの段階で渡って来ていても不思議が無い様にも感じました。2022/11/12
ラテちゃん
21
日本語にも英語の仮定法に当たるものがあるって驚きでした。タミル語との関連性も言語の伝播や歴史に思いを馳せるきっかけとなり興味深かった。しかし中盤の和歌やら詩やらの部分で毎晩、寝落ちを繰り返し1ヶ月ほどかかって読了。2015/06/28
Minamihama
19
改めて論理的思考の大切さを再認識させられた。 日本は過去3回外の文明を取り入れてきた。 1,タミールからの稲作に付随する文明。 2,中国からの漢字文明。 3,明治維新の西欧からの文明。2023/02/12
いの
18
日本語とインドのタミル語の関係に驚く。遠い異国と小さな島国日本との未知なる過去に思いを寄せた。ただ戦後、漢字制限の話題辺りから現在未来の日本の教育に不安が残る内容に恐怖を抱かされた。まさか言葉の本と思いきや、日本語の歴史から教育の課題に発展しており軽く読むことが出来ない内容である。2017/08/15