岩波新書<br> ロシア異界幻想

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岩波新書
ロシア異界幻想

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  • サイズ 新書判/ページ数 199,/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004307723
  • NDC分類 388.38
  • Cコード C0239

出版社内容情報

夜ごと訪れる亡者や家の精など,異教的色彩を色濃く残しながらロシア人の意識の深層に今も息づいている「異界」.死神や地獄の生々しい絵図,ロシア思潮の根底に流れる霊や世界樹,終末のイメージを織り込み,壮大な宇宙へと誘う.

内容説明

北方の森の民スラヴ人にとっての「異界」とは、キリスト教以前の異教的色彩を色濃く残した世界である。夜ごと訪れる亡者や家の精ドモヴォイたちは現代ロシア人の意識の深層に今も息づいている。そして死神や地獄の生々しい絵図、ロシア思潮の根底に流れる霊や終末のイメージを織り込みながら、世界樹へとつながる壮大な宇宙へと誘う。

目次

第1章 「この世」と「あの世」のしきい
第2章 家の霊域に棲むもの
第3章 ロシア・フォークロアにおける「死」の概念
第4章 「聖なるロシア」の啓示―民衆宗教詩『鳩の書』
第5章 ロシア的終末論
第6章 天国と地獄の幻景

著者等紹介

栗原成郎[クリハラシゲオ]
1934年、東京生まれ。1958年、東京教育大学文学部卒業。専攻、スラヴ文献学(フィロロジー)。現在、創価大学文学部教授。東京大学名誉教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kasim

32
題名から連想したのはバーバ・ヤーガにルサルカ、チェルノボグ。よい本だけど、こちらの勝手にロマンティックな期待とは違って民俗学の本だった。異界というより半分以上キリスト教に派生するイメージで、異教の神や怪物は出てこない。例外は家の隅に潜む精霊、ドモヴォイ。個人の死と世界の終末を軸に、宗教がどのように生活の一部として存在するかを教えられた。反キリストは世に出た当初は人を救うように見え、いよいよという時まで本人にも自分がそうだという自覚がないというのは恐いような不憫なような。『オーメン』を思い出す。2023/04/11

組織液

18
ロシアというか、スラヴ人の死生観などについて簡単に述べられている本です。著者の『スラヴ吸血鬼伝説考』が面白かったので、こちらも読んでみました。スラヴ古来の民間信仰とキリスト教的死生観が混ざったことで、矛盾なども多くみられることがわかりました。ある家一つとっても「美わしの隅」とペーチが対角線上に向かい合い、それぞれがキリスト教的聖所と異教的聖所を表しているなど、非常に興味深かったです。突然死は罪人の死とされ、あまり望まれた死に方ではなかったようですね。2020/12/18

崩紫サロメ

16
ロシアの民間伝承を通して死生観や世界観を見る。どちらかと言えば本書は古儀式派や異教的な面を大きく取り上げており、ニコンの改革以降のロシア正教の正統教義に接してきた者としてはなかなかに衝撃的な世界観(ルーシとイェルサレムの同一視、宇宙卵と世界樹など)が広がっている。「反キリストは東からくる」として日露戦争前後にインテリの間でも様々な妖言が流れたあたりもなかなかに興味深い。2020/01/08

サアベドラ

15
ロシア民衆の死生観、宇宙観、終末観を農民から採集したフォークロアやロシアで書かれたアポクリファ(聖書外典)、民衆宗教詩などから再現する。ロシアの異界的なものといえばキキーモラとヤガー婆さんぐらいしか知らなかったので、他にどんなのがいるのかしらんと手にとってみたのだが、残念ながらその手の妖怪チックな存在はあまり書かれてなかった。全体的に暗い。天国の描写がアイルランドの他界にちょっと似てる。天を支える世界樹なんかはゲルマン人の有名なあれを思い出す。同じ印欧語族ってことで深いところでつながってるのかも知れない。2012/09/28

とまと

13
異国の歴史・文化・文学には強い興味を示すのに、自国のものにはそうでもない時期があるのはなんでやろ。異国のものに目を向けることで自国についても興味が湧いてきたりするので結果オーライなんやけども。2012/10/11

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