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岩波新書
聖徳太子

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  • サイズ 新書判/ページ数 190,/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004307693
  • NDC分類 288.44
  • Cコード C0221

出版社内容情報

今なお謎と伝説に包まれている聖徳太子の実像をとらえ直す.史料に基づいて厳密に再構成されるのは,信仰の対象としての「聖徳太子」ではなく,飛鳥時代の現実を生きた「廐戸の王子」の姿である.現代の太子伝の決定版.

内容説明

今なお謎と伝説に包まれている聖徳太子の実像をとらえ直す。それは、信仰の対象の「聖徳太子」とは区別して、飛鳥時代の現実を生きた「厩戸王子」の姿を、史料に基づいて厳密に再構成していくことから始まらなくてはならない。推古朝の政治の構造、仏教を受容し、斑鳩を拠点としたことの意味などを視野に入れた、現代の太子伝の決定版。

目次

1 厩戸王子の誕生(幼年時代と蘇我氏;少年時代の戦い;危機の回避と女帝)
2 太子としての「まつりごと」(上宮の厩戸王子;斑鳩宮の厩戸王子;「見えない王」の外交)
3 斑鳩寺建立と仏教信仰(斑鳩寺と高句麗僧・慧慈;厩戸王子と三経義疏;「世間虚仮」と晩年の思想)
4 聖徳太子像の形成(太子信仰の起点;法隆寺の再建と上宮王院;日本仏教の開祖となる)

著者等紹介

吉村武彦[ヨシムラタケヒコ]
1945年朝鮮大邱に生まれる。1968年東京大学文学部国史学科卒業、同大大学院博士課程中退。現在、明治大学文学部教授。専攻は日本古代史
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

111
歴史的な資料を丁寧に検証しながら、聖徳太子の実像に迫っていく新書。新書ながら学術的な内容で、読み応えがあった。聖徳太子というと、夢中になって読んだ山岸凉子の『日出処の天子』を思い出す。この本を読むとあの作品は歴史的なロマンであり、実際の聖徳太子は豪族たちの権力闘争の中で、必死になって生きのびた人物であることが分かってくる。仏教に傾倒したことが本書に書かれている。聖徳太子が好んだのは『維摩経』だったそうだ。世俗の中で仏教の精神を生かそうとするこの経典は、聖徳太子の救いだったのかもしれない。2018/04/13

レアル

50
今年は聖徳太子1400年遠忌を迎える年なので読んでみる。歴史を辿りながら聖徳太子像を捉える。ただ聖徳太子と言えば存在論の是非やアバウトな形での捉え方で誤解をも生む太子像的な描き方の本もあるが、こちらは一つ一つの史料を丁寧に扱い、史実という時間軸で太子像を考察する本でとても読みやすく、かつ著者の太子像を鮮明に描き出したとても読み応えのある本だった。私の中では聖徳太子そのものよりも、太子の死後に崇め、今や全国に広がっている太子信仰についての考察が興味深かった。2021/09/29

壱萬弐仟縁

13
日本歴史を学習しているので、外せない人物。天寿国繍帳と晩年の思想の項目(120頁~)。天寿国は浄土。無量寿とは、寿命の限りがない永遠の生命としての阿弥陀仏(121頁)。弥勒浄土は、弥勒菩薩が住んでいる兜率天(とそつてん)の浄土のこと。兜率天とは、仏教で人間界の上にある俗界の六欲天の第四天。破損が激しいのが残念なところ(122頁)。世間のことも書いてある。元来仏教用語で、移り変わり、壊れていく世界とのこと(125頁)。阿部謹也先生のヨーロッパの研究が有名だが、日本の奈良時代にも世間は出てくるのは覚えておく。2013/07/31

まえぞう

5
ジュニア新書版の同名の作品の著者、東野先生も仰ってましたが、聖徳太子の出生から聖人化までを丁寧に説明された良書です。聖徳太子については、不在説も含め、様々な本が出ていますが、学術的な研究とはどういうものかが伺えるお話でした。奇をてらったところもなく、また、批判も抑制的で安心して読めます。2017/06/29

Fumitaka

4
「聖徳太子信仰」によって作り出された像からの厩戸王子(当時の発音では「うまやと」らしい。p. 2)の脱神話化を図る。「厩戸」の名は当時の慣習からして別に厩舎とは関係なく(p. 4)蘇我馬子の庇護下にあったことからの命名とし、聖徳太子の役職も文字通りの「摂政」ではなく推古天皇下の行政の長と位置づける(pp. 41-2)。確かに大化の改新でも「日本における仏教信仰の功労者」として聖徳太子ではなく蘇我馬子が挙げられている(p. 140)というのは当時のイメージと後世のイメージとの間に差異があるように感じられる。2023/12/08

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