出版社内容情報
いま世界の脳研究をリードする利根川博士.記憶を再生するプロセスをはじめとする,自らの研究成果を通して,脳科学の最先端と何が明らかになってきたのかを解説.目的・戦術・技術のみごとな組み合せには目を見張らされる.
内容説明
抗体の多様性の謎を解明して1987年にノーベル賞を受賞した利根川博士は、いま世界の脳研究をリードする。脳にためた記憶を再生するプロセスをはじめとする、みずからの研究成果を通して、脳科学の最先端と何を明らかにしてきたのかを紹介する。目的・戦術・技術がみごとに組み合わさったその研究手法には目を見張らされる。
目次
1 私の歩んだ道(分子生物学者になりたい;サンディエゴへ留学;免疫学上の大ミステリーを解く;MITで脳研究をはじめる)
2 脳科学の現在と可能性
3 学習と記憶のメカニズムを探る(わたしたちの研究戦術;長期増強は記憶の基盤か?;CA3野の機能を調べる)
4 科学者とは、科学研究とは
5 日常生活から見た脳
著者等紹介
利根川進[トネガワススム]
1939年愛知県生まれ。1963年京都大学理学部卒業。1968年カリフォルニア大学サンディエゴ校博士課程修了。Ph.D.ソーク研究所、バーゼル免疫学研究所を経て現在、マサチューセッツ工科大学教授(学習と記憶研究センター所長)。専攻は分子生物学
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
40
非常に楽観的な人、簡単に滅入らない人、あきらめない人、プライオリティがしっかりしている人がサイエンスに向いているという言葉が印象に残った。2015/05/19
さきん
19
主に著者の取り組んでいる脳科学、取り分け記憶のメカニズムに対する内容が中心を占めるが、それよりもノーベル賞を受賞した、免疫の話の方が断然面白い。三万しかない、さらにその一部の遺伝子を使って数百億通りもの新しい病原体に対応するために進化論の小宇宙のような世界が展開していることを実証した。新書よりは写真付きで大判で出した方がわかりやすい。2020/05/23
Lee Dragon
10
ノーベル賞受賞者の利根川さんの本。なかなか面白い研究をしておられます。 タイトルは脳科学講義になっていますが、自伝が3分の2を占めています。作者の性格が垣間見れる発言がありましたが、良い意味でも悪い意味でもこの人の天職は科学者なんだなあと感じた。 十四年前の本の内容なので比べると今の科学がどれくらい進んでいるのかよくわかります。2015/04/20
yoi
8
ノーベル医学賞受賞者、利根川進による脳科学の入門書。著者は、免疫学で受賞した後、分野を潔く脳科学に変えてしまっためずらしい方。内容は研究者としての自身の半生と、脳科学に移ってからの研究内容、池田理代子さんなど、異分野の方が多々の対談などで構成。科学者になりたいヒトは、刺激されるかも。2010/08/18
あじさい
5
ラストの著者と池田理代子との対談が、一瞬ミスマッチかと思いきや、意外に見事にリンクしていて、とても興味深かった。漫画「ベルサイユの薔薇」の作者が、実は理系だったというサプライズも合わせて、「へぇ~」の連続だった。本作品は、立花隆との対談本のシビアさに比べて、全体的にソフトタッチ。著者の攻撃性が相当希釈されている。科学は未知数の領域を多々抱えているけれども、脳のシステムはその中でも最たるものかもしれない。その機能が全て化学反応式的アプローチで解明されていくのは、興味深くもあり、怖い感じもさせられる。2015/09/08