岩波新書
蕪村

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  • サイズ 新書判/ページ数 207p/高さ 17cm
  • 商品コード 9784004307051
  • NDC分類 911.34
  • Cコード C0295

出版社内容情報

「菜の花や月は東に日は西に」「春の海終日のたりのたり哉」など名句を生んだ蕪村は,画業にも秀でた才人であった.近代での受容,同時代の位置を明らかにしながら,綿密な構想力と自由な創意に着目して,魅力の全貌を示す.

内容説明

「菜の花や月は東に日は西に」「稲づまや波もてゆへる秋津しま」など、親しまれ続ける名句を生んだ蕪村。画業にも秀でた才人であった彼の「詩」を貫いていたものは何か。「芭蕉再評価」の時代にあった蕪村の位置を一門の様子を交えて明らかにし、近代以後の受容も追いながら、真の魅力を綿密な構想力と自由な創意に着目して解説する。

目次

第1章 「蕪村発見」の軌跡
第2章 「芭蕉」へのまなざし―蕪村時代の素描
第3章 俳画の妙
第4章 翔けめぐる創意―蕪村俳諧の興趣
第5章 本のプロムナード―俳書と刷り物の匠み
第6章 春風のこころ―「春風馬堤曲」の世界

著者等紹介

藤田真一[フジタシンイチ]
1949年京都市に生まれる。1980年大阪大学大学院博士後期課程国文学専攻修了。現在、関西大学文学部教授。文学博士。専攻は日本近世文学(俳諧)。編著書に『蕪村 俳諧遊心』(若草書房、文部大臣奨励賞受賞)など
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

66
探していたこの俳人の本。俳句だけでなく絵、南画でも名を成していた蕪村を総合的に紹介する本。マルチな才能で俳句とイラストを組み合わせる才人だ。また俳諧の軽み小粋さの味に唸りっぱなし。また漢文や短歌などの素養が底にあり、それらを分かる人にのみ分かる仕掛けを解説してある。本歌取りや古来のお約束の構築物であり、これが文化というものかと。気軽に読めてこの俳人の奥の深さを垣間見せるよい新書。2018/03/28

どんぐり

59
江戸の俳人で絵師でもある蕪村のことは、辞世の句「我を死して碑に辺せむ枯尾花」を知っているくらいで、ほとんど知識をもっていない。人となりに面白さがあるかと思って読んだが、これは教養本であった。2018/06/03

moonanddai

9
たまに蕪村でも読んでみようと、まずは基礎から。とはいえ蕪村となると、いわゆる写生句とは違い、文化的というか文芸的基礎知識が必要なようです。「秋来ぬと合点させたるくさめかな」は、例の貫之が本歌かなとは分かりますが、「万歳やふみかためたる京の土」となると、当時の「万歳」とはどんなもので、「ふみかためる」のが京の土だという意味合い(相撲の四股を踏むと同じで、地の邪気を払うことになる)が、すぐにはピンとこないところが、読む方としては難しい。例の「月は東に~」も類似の民謡を知っていて、なるほどと思う…らしい。2023/07/18

中原れい

5
ふと思いついて10年ぶりに再読。蕪村を文人として総合的に解説したものでそれぞれの内容は浅めなのだが、時代の趨勢から判断した人物像にうなずき膝を叩くことしきり。明治・大正に蕪村の句が再評価されたころのことが何度読んでもスリリングで面白い。子規は、晶子は、朔太郎はどう評価し、そこには何が隠されていてそれは現代から見て新しい資料から推してどんな欠点があったか、など。思わずメモをとりながら読み進んだので終わるのは遅かった;俳諧・絵などテーマを絞った論評も必要だがひとりの人として統合して問い続けるのも必要と知った。2016/05/13

Mマジパン

4
江戸中期の総合芸術家、与謝蕪村の多岐にわたる業績を紹介した本。近代詩歌との関連から始まり、各地の放浪と俳句や南画の修行時代から完成期に至る作品をわかりやすい解説とともに紹介している。どんなものでもどん欲に吸収し、常に創意を加えていく蕪村の姿勢により、50歳を超えて彼の俳句と絵画は信じられないような高みに到達した。蕪村ファンには実に読みやすい良書である。2021/04/07

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