出版社内容情報
ジャズ,ボサノーヴァ,ロック,レゲエ….空前のできごとが相次いだ20世紀は,これらの音楽が生まれ地球上に広まった時代であった.人々のパワーが個性的な音楽を,どのように創造していったのか.エキサイティングな書.
内容説明
ジャズ、ルンバ、ボサノーヴァ、レゲエ。空前の出来事が相次いだ20世紀は、これらの音楽が生まれ地球上に広まったポピュラー音楽の時代だ。世界各地で、音楽と人々・社会・時代の関係が、まさに多種多様に展開されてきた。人々のパワーが生命あふれる音楽を、どのように創造し、伝播していったか。エキサイティングな音。
目次
矛盾を抱えて出発したアメリカの音楽
奇妙に屈折した大衆音楽、ジャズ
最初の世界演奏がカリブで生まれる
ラテン・アメリカ音楽の形成
スリランカ、インドネシア、ハワイの音楽
歌における虚構と真実
黒人音楽が達成した大変革
世界ポピュラー音楽の黄金期
戦後ラテン・アメリカ音楽の展開
50~60年代アメリカ音楽の大噴火
ロック以後の世界音楽の模索
波の彼方のポストモダン
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
左手爆弾
7
ポピュラー音楽とは、一人の天才の創意でも、民俗音楽のような名もなき大勢の人びとの集合的無意識でもない。大衆によって、資本主義社会を背景にして、登場する音楽である。この広範な定義を用いて、欧米に限定されない世界中のポピュラー音楽を紹介する。むしろ、ジャズよりも早くカリブ海のラテン音楽の方が早くポピュラー音楽化していたなど、非欧米圏の音楽に強くフォーカスしている。もうひとつは、アメリカにおいて、白人が黒人から音楽を盗んできた歴史も強調されている。その意味では、強く固定された視点から書かれているとも言える。2018/01/06
1959のコールマン
4
☆4。久しぶりに読み返した。あらためて感じた事は、とうよう氏は文字通り世界中のポピュラー音楽を聴き、関連する文献(英文含む)を読み、その上で評論出来た人だったなあ、というところだ。賛否両論、毀誉褒貶が激しく、欠点も沢山あったが、それでも現在、とうよう氏の八面六臂の仕事を継いでいる人がいるか?と問うと皆無だ、と言わざるを得ない。特にポピュラー音楽研究については、研究対象が欧米に偏りがちで、中南米、東南アジア、中東、などといった非西欧の研究はなおざりになりがちだ。2019/01/18
たこやき
3
『大衆音楽史』の補足として読みました。 中南米や東南アジアや日本の音楽にも触れていますが、ジャズやブルース、ロックなどの黒人音楽を体系的に知りたいなら『大衆音楽史』を読んだ方がいいと思います。しかし、その本では深く書かれていなかったボブ・ディランについても触れてるので、どっちもどっちと思いました。 両者共、レッド・ツェッペリンやディープ・パープルについてあまり触れずに、60年代のビートルズの次は、70年代のピストルズ等のパンクロックに焦点を当てているのが難点。アマゾンのレビューはあてになりません。2021/04/18
nizimasu
3
先日亡くなられた元ミュージックマガジンの編集長による20世紀の音楽を俯瞰する書。アメリカが音楽の中心ではなく、世界中に19世紀の後半からローカルな音楽に驚くヨーロッパの人々の姿が描かれる。大航海時代から文化の衝突、そして植民地。音楽も例外でない。支配者が被支配者の音楽を搾取し、それを融合させながらポピュラー音楽ができたのは、20世紀までの現象というのがわかる。インターネットとDTMの進展で、文化の衝突はベッドルームレベルにまでなり、その搾取の構造の終焉はポピュラー音楽の空洞化にもつながる。素晴らしい航海図2011/10/07
とみしん tomisin555
2
著者が『ミュージックマガジン』の編集長だった頃、1999年に発行されたこの本。楽しく読めた。内容は相当にマニアックだけれど、音楽をワールドワイドに捉えていて極力もれがないようにという姿勢が伝わってくる。僕はかつて、ミュージックマガジンを毎月買っていたのだけれど、どの記事もキチンと読んでいたわけじゃない。でも機会をつくって聴きたいと思うのはいろいろあった。日本の音楽への記述が少ないのかちょっと不満だけど、都はるみのライブパフォーマンスを絶賛する件は、激しく納得できた。いつの世にも音楽は素晴らしい!2022/01/21