岩波新書<br> 戦争論

岩波新書
戦争論

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  • サイズ 新書判/ページ数 201p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004306320
  • NDC分類 391
  • Cコード C0231

出版社内容情報

2つの世界大戦,今なおつづく内戦,民族紛争….20世紀はまさに戦争の世紀だった.われわれは戦争=暴力をどう認識し,いかなる言葉で語るべきなのか.新たな思想的枠組みを探り,20世紀をとらえかえす歴史哲学の探究.

内容説明

すさまじい暴力と破壊の爪痕を人類の歴史にのこした二つの世界大戦、そして今なおつづく内戦、民族紛争…。二〇世紀とはまさに戦争の世紀だった。世界はなぜ戦争になるのか?われわれは戦争という暴力をどのように認識し、いかなる言葉で語るべきなのか?新たな思想的枠組みを探り二〇世紀をとらえかえす歴史哲学の探究。

目次

第1章 近代の戦争(戦争の近代的パラダイム;戦争と国民国家 ほか)
第2章 軍隊国家の誕生―近代日本(徴兵令の施行;軍隊をモデルにした国家 ほか)
第3章 死と暴力の世紀(暴力に直面した二〇世紀;ガスと炎―ホロコースト ほか)
第4章 冷戦から内戦へ(冷戦というパラダイム;内戦とジェノサイド ほか)
第5章 二〇世紀末の戦争(あらたなタイプの戦争;バルカンとヨーロッパ ほか)

著者等紹介

多木浩二[タキコウジ]
1928年神戸生まれ。東京大学文学部美学美術史学科卒業。専攻は芸術学・哲学
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感想・レビュー

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kochi

20
コソヴォ紛争を契機に書かれとおもわれる戦争論。やはり、クラウゼウィッツから始まるのだが、両大戦とアウシュビッツ及び原爆投下の後において、戦争を語るのにクラウゼウィッツにしか言及しない人がいたら不勉強の代名詞にして良いだろう。改めて気付かされたうっかり者だが、ルワンダ、カンボジア、サラエヴォ、コソヴォについて読みながら、同時代に生きながら、知らないこと、目をつぶっていたことの多さを知る。内戦最中に発行された『サラエヴォ旅行案内』というミシュランもどきには驚かされた。2018/07/25

風に吹かれて

13
戦争は政治の道具である、とクラウゼヴィツは考えていた。果たしてそうだろうか、政治と戦争を簡単に結びつけてよいのだろうか、という疑問から著者は人間の歴史を覆う戦争のことを思想的に考察した。日本における明治維新から第二次世界大戦という長い戦争の期間についての特権的官僚や臣民でしかなかった国民の民度などを踏まえての考察は受け入れやすい内容であったし、現在の世界の構造における戦争の意味など、1999年刊行の本書だが、とても新鮮な内容であると思った。2018/12/21

またの名

13
とくに近代化されて以降の20世紀の戦争について考察。クラウゼヴィッツやベンヤミンの議論、富国強兵を目指し憲法も国民議会もまだないのに国民概念から由来するはずの徴兵制が先に布告されたりフーコー理論では説明し切れない等の大日本帝国、戦後ヨーロッパ圏を最も内奥で規定するホロコースト、冷戦とその崩壊によって回帰した民族ナショナリズムの衝突を思想面から追う。バルカン戦争では発生条件が未知の何かを含んでいるとの結論から「世界がこれまで知らなかった戦争の可能性に開かれてしまったこと」を予感。そして事実その通りになった。2018/11/15

白義

12
戦争の暴力こそあらゆる暴力の根底であり、国家秩序もそれを前提にしている、という視点からまとめられた20世紀論。軍隊国家形成の典型としての大日本帝国や、死に至らしめる機構の極点としてのホロコースト、原爆投下、そして友敵秩序の再編成である冷戦と内戦の時代と、手堅くまとまった出来栄え。明治の「軍制綱領」を規律・訓練による近代的身体の形成を論ずるテクストとして読むのはシンプルなフーコーの援用だが面白く読めた。最後は、世界の破壊としての戦争に対し世界の中にある人間の自律性を守ることが大事と締める2014/10/16

マーブル

9
芸術学と哲学を専門とする筆者の歴史的哲学考察。タイトルからイメージされる程、網羅的ではないが、戦争について「知る」だけでなく「考える」ため参考となる良書である。筆者の主張は、もしかすると主流ではないのかもしれない。それを判断する程の知識もない。 ≪「過去」と呼ばれているものを歴史的な視野で認識することが重要なのだ。それは現在を理解することだからである。≫ ≪戦争とその産物は、経験しなかったわれわれにも恥辱をあたえる。(中略)望まなかったその立場まで含めてしか、われわれの歴史認識はありえないのだ。≫   2018/03/18

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