出版社内容情報
戦後を生きる人々の心を揺さぶり,時代の夢と息づかいを表現した名歌たち-作詞家・作家として活躍する著者が,「湖畔の宿」から「川の流れのように」まで,自分史をまじえつつ,時代を画した百曲の歌物語を語りだす.
内容説明
戦後を生きる人々の心を揺さぶり、時代の夢と息づかいを表現した数々の名歌たち。作詞家・作家として活躍する著者が「湖畔の宿」から「川の流れのように」まで、自分史をまじえつつ、時代を画した100曲の歌物語を語りだす。
目次
戦後という時代の手ざわり(幼年時代;高校まで)
都会の響きと匂い(大学時代;広告の世界で)
時代の変化を感じながら(放送作家時代;遅れてきた作詞家)
競いあうソングたち(フリー作家の時代;新感覚をめざして)
時代に贈る歌(歌の黄金時代)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
118
なぜこのような本が絶版になってしまっているのでしょうか?作者かあるいはご遺族の意向なのでしょうか?私にはいい本でぜひ復刊してほしいと思いました。阿久さんのご自分の生涯と昭和のその時々の歌を昭和15年の「湖畔の宿」から平成元年の「川の流れのように」まで思い入れたっぷりに語ってくれています。私もすべての歌を知っているので当時をなつかしく思い出しました。2018/05/15
新地学@児童書病発動中
88
歌謡曲で昭和を振り返るという趣向が素晴らしい。戦争で焼け野原になった日本が高度経済成長を経て、経済大国になっていく過程が歌を通して実感できる。昭和の影の部分も描かれおり、人々のやるせない思いを歌謡曲が受け止めていたこともあったようだ。例えば昭和45年の「圭子の夢は夜ひらく」など。昭和50年の「およげ!たいやきくん」が一番懐かしかった。普通に楽しく歌っていたが、この歌にはサラリーマンの哀感がこめられていたそうだ。2015/01/16
ちくわん
20
1997年7月の本。1997年4月~1999年4月、朝日新聞に連載。阿久悠氏本人の作品を中心に読む。演歌、ピンクレディー、ジュリー、アニメと幅広い。なかでも「また逢う日まで」は私のOSを構成する一部。「思秋期」と「時代おくれ」のエピソードは泣。兄は戦死、9才で終戦。この世代が残したものを、確りと噛みしめたい。2022/09/24
ゆっち
3
作詞家 阿久悠氏の数ある本の中の一つだが、これを読むと昭和に流行した文化的な背景もわかり、その頃流行ったものによって、恋の歌がどう生まれてきたかがわかった。また自身の作品だけでなく、昭和中期の流行歌についても阿久氏の個人的な見解が書かれており、当時を知る人の一意見を知ることもできた。作詞した岩崎宏美さんの「思秋期」は阿久さん自身も気に入っていたそうだが、レコーディングの時のエピソードは興味深かった。2014/07/20
Sakae Nakato
3
昭和の名曲にまつわるエッセイ。沢田研二の「時の過ぎゆくままに」がいつも流れていたのは15歳の頃。「堕ちる」という「おちる」を初めて知って、男と女が堕ちて行く世界におびえたりした。「ジョニィへの伝言」が流行った時は高校生だった。2014/03/16