岩波新書<br> 小国主義―日本の近代を読みなおす

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岩波新書
小国主義―日本の近代を読みなおす

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  • サイズ 新書判/ページ数 210p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004306092
  • NDC分類 210.6
  • Cコード C0221

出版社内容情報

軍事大国路線を突き進んだ近代日本は,やがて敗戦によって破綻した.この日本近代の歩みを,いま私たちはどう捉え直すべきか.日本国憲法こそ小国主義の結実とする著者は,明治以来,ときに噴出しときに伏流化した小国論に注目し,日本近現代史の全体像を描き直す.

内容説明

軍事大国路線を突き進んだ近代日本は、やがて敗戦によって破綻した。この歴史の歩みを、いま私たちはどう捉えなおすべきか。日本国憲法こそ小国主義の結実とする著者は、小国論の視座から、まず『米欧回覧実記』を検討し、植木枝盛・中江兆民らの主張、三浦銕太郎・石橋湛山の議論をたどりながら、日本近代史の全体像を描きなおす。

目次

序章 小国主義とは
1 近代国家の選択肢を求めて―岩倉使節団のめざしたもの
2 自由民権期の高揚と伏流化―植木枝盛・中江兆民の位置
3 「小日本主義」の登場―大正デモクラシーの中で
4 日本国憲法をめぐって―小国主義の理念の結実

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

横浜中華街2024

12
図書館で偶然見かけて手に取った本だがとても良かった。「小国主義」といえば石橋湛山が有名でいくつか著書が出ているが、本書は明治の岩倉使節団から始まり、植木枝盛の憲法草案、三浦鉄太郎、石橋湛山、大正デモクラシーの小日本国主義、そして日本国憲法などを通じて近代の小国主義の歴史を述べており、副題の通り「日本の近代を読みなおす」内容となっている。明治憲法発布前に書かれた小国主義の起源とも言える植木枝盛の憲法草案が憲法研究会草案を通して日本国憲法に反映されているという事実はやはり驚き。2021/11/11

Mealla0v0

4
実際には大国主義の立場を取った近代日本の、あり得たかもしれない路線=未発の可能性としての小国主義。本書はその思想史を検討する。その始まりは岩倉使節団にある。岩倉使節団は、ヨーロッパの大国だけではなく小国にも訪れ、その重要性に着目していた。自由民権の時代に下ると、国権主義に対して民権の主張がプレゼンスを持つようになる。結果として、この時は敗れるものの、大正デモクラシーへと成果は流れ、三浦銕太郎や石橋湛山によって、明確に小国主義が打ち出される。時代は15年戦争に突入し敗戦。平和憲法は小国主義の具体化と結論。2021/09/10

Takao

4
1999年4月20日発行(初版)。発行からすでに16年、以前半分ほど読んだが、今回改めて再読。岩倉使節団の『特命全権大使米欧回覧実記』の大国・小国の記述から説き起こし、維新後の日本には「未発の可能性」があったと論じる。自由民権期の植木枝盛・中江兆民、大正デモクラシー期の三浦銕太郎、石橋湛山らの小国主義は、歴史の表面からは消えて伏流化し、日本の敗戦後、高野岩三郎・鈴木安蔵らの憲法研究会の憲法草案要綱を経て、日本国憲法に結実したとする。21世紀を迎え、大国か小国か、が改めて問われている。2016/09/20

古谷任三郎

3
日本近代史の研究者が、岩倉使節団、植木枝盛、中江兆民、三浦銕太郎、石橋湛山、高野岩三郎、鈴木安蔵の議論をたどりながら、日本の「小国主義」の歴史を描き出す。著書は「自由民権期の植木や兆民にみられる小国主義が、日本の大国主義の破産した敗戦後の状況のなかで、憲法研究会案(「憲法草案要綱」)を通してマッカーサー(GHQ)草案に流れ込み、それが日本国憲法へと結実した」(P.190)と結論を導き出している。岩倉使節団がフランスやドイツなどの大国だけではなく、小国にも関心を寄せていたのは大変興味深い。2022/07/24

belier

3
「明治の精神は..列国と対峙して国光を宣揚するに在り」と山県有朋がいう大国の方向へ近代日本はひた走った。日清戦争での勝利がそれを可能した。だが明治初期における民権運動での植木枝盛らの憲法草案は人権重視であったし、中江兆民も平和外交を原則とすべしと説いた。大正デモクラシーの時に三浦銕太郎が小日本主義を唱え、石橋湛山はそれを引き継いで植民地を放棄せよと主張した。少数派ではあった。敗戦後、この思想を反映した民間の憲法研究会案がGHQに提出された。これを参考に日本国憲法が作成され、小国主義は実現したのだった。2022/02/15

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