岩波新書
「風と共に去りぬ」のアメリカ―南部と人種問題

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  • サイズ 新書判/ページ数 218,/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004304425
  • NDC分類 316.853
  • Cコード C0236

出版社内容情報

人種・民族のるつぼのアメリカでは,共生と軋轢が日常だ.アトランタをはじめ各地を旅し,世界的大ベストセラー「風と共に去りぬ」を生んだ南部の土壌を,豊富なインタビューで描き出し,人種間の複雑な思いを明らかにする.

内容説明

アトランタは「風と共に去りぬ」の舞台として知られる。しかし、世界中に熱烈なファンをもつこの物語も、黒人のあいだでは大きな批判や波紋を巻き起こしてきた。豊富なインタビューで南部の土壌を描き出すことにより、この小説と映画の裏にあるアメリカの人種問題の複雑さを明らかにしていく斬新なアメリカ案内。

目次

序章 アメリカの見えない顔
第1章 アトランタ
第2章 「風と共に去りぬ」の神話
第3章 黒人たちの南部
第4章 ミッチェルのテーマ
第5章 ワシントンの百万人大行進
第6章 帰郷

著者等紹介

青木冨貴子[アオキフキコ]
1948年東京都に生まれる。1984年より3年間「ニューズウィーク日本版」ニューヨーク支局長を務める。現在はフリーランス・ジャーナリストとして、ニューヨークに在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まーくん

87
先日、読んだばかりの猿谷要著『キング牧師とその時代』からアトランタ繋がりで本書を。アトランタといえば何と言っても『風と共に去りぬ』ですが、実は映画(TV?)は観た記憶があるのですが小説は未読です。マーガレット・ミッチェルがこの長編小説を著してから一世紀近くたとうとしてますが、未だに多くの人々に感動を与え親しまれている一方、人種差別的だとの厳しい批判もあります。それは単に差別的用語が使われているだけでなく、背景に保守層が好む思想が含まれているに違いない。それは南北戦争前の南部を賛美する思想であり、⇒2024/01/24

1959のコールマン

56
☆点数保留。ちょっと考え込んでしまった。「風と共に去りぬ」の評価はアフリカン・アメリカンの間でも色々分かれていて、ハッキリ結論が出ていない。著者もはっきり結論を出せていない。それほどアメリカの人種問題はややこしい。もちろんアメリカの抱える問題を歴史的な面と地理的な面で分かりやすく書かれているのでそれなりに勉強にはなったが・・・。ちなみにこの本は一方的に作品及び作者マーガレット・ミッチェルを断罪するものでは無い。むしろ逆に擁護しているような部分もあった。これを機会に原作に挑戦してみたい。点数評価はその後。2020/08/07

ロビン

28
『風と共に去りぬ』で描かれる南部の黒人奴隷問題から、キング牧師などの自由民権運動を経て現代に至るまでの人種問題も扱った新書で知りたかったことが概ね書いてあった。著者はアトランタに赴いてインタビューを行い、黒人たちにこの作品についての意見を聞いているが、彼らの多くは「黒人を侮蔑的に描いている」と批判的であった。またミッチェル自身には悪意はなかったとしながらも、今の感覚で言えば彼女は人種差別主義者であると書いている。『風と共に去りぬ』を切り口に公平な立場でアメリカの人種問題の複雑さを浮かび上がらせている良書。2021/06/04

コニコ@共楽

24
時間を超えて残る名作も時代によって読み方が変わっていくし、そこにはいいとか悪いとかの価値判断よりも複雑で多様な視点があることを教えてくれる本。マーガレット・ミッチェルの時代の南部がどんな歴史背景を持っていたか、誰の影響を受けたのか、とても興味深く読んだ。この本で論ぜられている人種問題が、ただ皮膚の色の問題ではなく、思想の問題と言っているのも印象に残った。2020/04/23

秋 眉雄

18
『風と共に去りぬ』が書かれた時代、その舞台となった時代、現在(1995年頃)、それぞれの時代の白人・黒人、南部と北部、民主党と共和党、女性と男。色んな角度を持った視点から語られる『差別とは思想の問題である』ということ。凄く興味深い一冊です。(再読月間その七)2017/04/02

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