出版社内容情報
ドラマにおいて,また日々の生活の中で“劇的”とはどういうことか.ギリシア悲劇『オイディプス王』やヨーロッパ古典劇『マクベス』『フェードル』,日本の能,歌舞伎から近代劇,さらに自らの作品まで親しく読み込み,時に興味深いエピソードを交えながら,古典とのつきあい方や“劇的”ということの本質を各々の作品に即して考える.
内容説明
ドラマにおいて、また日々の生活の中で“劇的”とはどういうことか。ギリシア悲劇『オイディプス王』やヨーロッパ古典劇『マクベス』『フェードル』、日本の能、歌舞伎から近代劇、さらに自らの作品まで親しく読み込み、時に興味深いエピソードを交えながら、古典とのつきあい方や“劇的”ということの本質を各々の作品に即して考える。
目次
1 馬の話から
2 ヨーロッパ古典劇の場合
3 日本古典劇の場合
4 日本語について
5 『平家物語』の場合
6 “劇的”とは―まとめとして
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Emperor
38
「科学は問題を解決するが、文学は問題を提示する」。チェーホフの言葉らしいが、なるほどビビっとしすぎて少しだけ部屋を歩き回ってしまった。2019/10/06
がらす
5
ギリシア古典やシェイクスピアの戯曲、また日本の伝統芸能といった例を見ながら、日頃不用意に使われている「劇的」という言葉の本質を探っていく作品。テレビ番組でお話された内容を文章に起こしたものなので読みやすいと思います。「劇的」は単なる驚きや急展開ではなくて、もっと精神的なものなんだなー。言文一致運動の最中を生きた坪内逍遥の翻訳から大変な苦労が見て取れたのも興味深かったです。2011/12/01
ハルマル
4
「未解決の過去」という言葉にドキリとした。置き去りにしている過去に向き合うテーマを持っているか。2015/07/23
あにこ
3
劇の形式をとる優れた作品には、ある共通の構造があるだろうとは思っていた。序破急のような外枠のみならず、内に抱えられているものに関してもだ。著者によればヨーロッパ古典劇の真髄は、ある事柄を解決したいがそれに自己否定が伴うという、ディレンマにあるようだ。■NHK大学の講座で好き放題喋ったものが元になっているので、あまりしっかりした論の展開はない。オイディプス王やマクベスなどの古典についてかじれたのはよかった。2020/05/16
キュアらいか(基本世界のゔぁみ)
3
興味をそそるタイトルだったのでなんとなく買って読んだのだけれど、自分が今考えていることに関連しており、すごく面白かった。人間が陥る「不可能」の運命、その矛盾にとことんまで魂を引き裂かれながら生きること。その極まるところの表象としての個の悲劇には紛れもなく普遍や永遠が顔を覗かせていて、そこに生ずる反転と浄化の感動は古代ギリシアや古代インドの人たち、そしてどんな場所、どんな時代にいる人間にも(憧れがあるかぎり)感じられることなんだろう、と思った2014/05/11