出版社内容情報
一九八六年四月に発生し,全世界に衝撃を与えたソ連のチェルノブイリ原発事故.高濃度の放射能汚染に見舞われた現地とその周辺では,どれほどの被害が生まれ,住民は何を訴えているのか.白血病に苦しむ子ら,怒りをたたきつける女たち,そしてヨーロッパ各地に広がる食品汚染への不安…….度重なる取材にもとづいて,その実情を克明に伝える.
内容説明
1986年4月に発生し、全世界の人々に衝撃を与えたソ連のチェルノブイリ原発事故。高濃度の放射能汚染に見舞われた現地とその周辺では、どれほどの被害が生まれ、住民はいま何を訴えているのか。白血病に苦しむ子ら、怒りをたたきつける女たち。そしてヨーロッパ各地に広がる食品汚染への不安…。度重なる取材にもとづく貴重な報告。
目次
第1章 汚染のヨーロッパ―オーストリア・ドイツの秋
第2章 隠された被害を追う―チェルノブイリの春
第3章 滅びゆく村、生きる人々―チェルノブイリの夏
第4章 死に瀕する子供たち―チェルノブイリの冬
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Nobuko Hashimoto
21
チェルノブイリ原発事故レポート。87年から5年ほどかけてウクライナやベラルーシ、周辺諸国をまわって、事故の影響を調査したルポ。植物の巨大化、白血病や免疫系の病気に倒れる人びとと医師らの必死の治療、避難をせずに故郷にとどまる人びと、避難の指示が出ずに、あるいは避難先も危険であったことが後で判明し、放射能汚染の影響を受けてしまった人びとの声、救援資金や物資が必要とする人たちに届かない問題など、事故発生直後から数年の混乱と悲劇を伝える。2019/06/03
モリータ
8
1991年刊。三国にわたるルポ。著者の来歴、抜き書きは省略。2022/03/15
taming_sfc
3
広川隆一氏による1991年の著作。主に、現地における聞き取り調査・インタビューを中心に展開される。氏の文章展開の妙ゆえか、ぐいぐいと読める。情報、官僚、医師、援助などに関する不条理と、ただただ犠牲になっていく市民、とくに子供たちに焦点が当てられる。どこまで客観的かは不明であるが、これもひとつチェルノブイリの大きな真実であろうと思われる。当該事故は、科学による事件であり、その後は、政治による事件であると再確認できた一冊である。2011/03/01
mitya
2
あまりにも広い範囲が放射能汚染されていることに驚いた。避難した先が安全とも限らない。立ち入り禁止区域以外の住民は事実を知らされずに不安におびえなから暮らしている。または、諦めている。子どもが放射能に影響されやすいというのもいたたまれない。2019/08/15
lop
2
チェルノブイリの事故から数年後の本のため、個々の無知と社会全体の無知の怖さを感じます。2017/05/07