出版社内容情報
あっ，キスシーンがない！ 『未完成交響楽』の検閲に歯ぎしりした小田原の映画少年は，病こうじて戦争末期の東宝撮影所の門をくぐった．以来，国策映画のカチンコを打ち，敗戦直後の東宝争議を経験，『七人の侍』や『雪国』の熾烈な助監督の現場をくぐり，『サンダカン八番娼館・望郷』など昭和を問うシナリオを書きつづけてきた著者の軌跡．
内容説明
あっ、キスシーンがない！『未完成交響楽』の検閲に歯ぎしりした小田原の映画少年は、病こうじて戦争末期の東宝撮影所の門をくぐった。以来、国策映画のカチンコを打ち、敗戦直後の東宝争議を経験、『七人の待』や『雪国』を熾烈な助監督の現場をくぐり、『サンダカン八婦娼館・望郷』など昭和を問うシナリオを書きつづけてきた著者の軌跡。
目次
海道筋
片目のヒーロー
シロヂニアカク
爆弾３勇士
東京からの匂い
怒濤
はつかえびす貝
吾一少年
スケッチ日和
虚弱少年
寒い朝
学ニ志ス
ルーペのなか
その日まで
軍隊手牒
この門に入ることを
馬が走る
助監督のしごと
女をえがくひと
落日
私のなかのシナリオ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鈴木誠二
2
著者が少年時代過ごした戦前の小田原市のエピソードは実に興味深い。憲兵全面協力映画！『間諜 海の薔薇』(特撮担当：円谷英二！）観たいねぇ。『七人の侍』撮影時にカッチョイイサラブレッドがまるで揃わなくて苦労したというけど、そっちの方がリアルでいいじゃんと思う派2019/08/04
印度 洋一郎
1
映画脚本家として知られる著者の、少年時代から始まる映画との出会いを綴った本。全体の八割は昭和19年に東宝に入社する以前の話だが、映画少年の視点で語られる戦前映画史でもある。当時の小田原(郷里)の映画館の内部や興行の形態など興味深い証言だ。助監督として参加した、戦時中の幻の映画「間諜海の薔薇」や、戦後の黒澤明の「七人の侍」の撮影裏話は面白い。特に、現場で怒鳴りまくっている黒澤を無断に撮影した映像を使った予告編の話が秀逸。編集している最中に突然やってきた監督は自分で編集して、「この方が面白い」と言ったとか。2012/08/30
丰
0
Y-212000/07/20
