出版社内容情報
生命はいつ,どこで,どのようにして誕生したのだろうか.近年の宇宙・地球についての知識の飛躍的増大や分子生物学の進歩によって,この謎に実証的に迫ることが可能になった.この研究の第一線にある著者が,神話の時代から今日までのさまざまな考え方を紹介しながら,最新の研究成果をふまえて生命誕生のシナリオを大胆に描く.
内容説明
生命はいつ、どこで、どのようにして誕生したのだろうか。近年の宇宙・地球についての知識の飛躍的増大や分子生物学の進歩によって、この謎に実証的に迫ることが可能になった。この研究の第一線にある著者が、神話の時代から今日までのさまざまな考え方を紹介しながら、最新の研究成果をふまえて生命誕生のシナリオを大胆に描く。
目次
生命の始まりの認識
生命の基本的性格
蒼く惑星、地球の誕生
生命誕生のプロローグ
生命を組み立てる―混沌から秩序へ
RNAワールドから現在の生命へ
分子化石から原始生命の痕跡を探る
宇宙の生命
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
茶幸才斎
2
生化学、遺伝学及び地球物理学の基礎を概観した後、原始地球環境下での生体高分子の生成と、その後の化学進化を「初めにRNAありき。其は情報の器なり。また触媒なり。」とするRNAワールド仮説に基づき説明し、更に地球外生物の可能性を考察している本。「人類は物質宇宙の進化の最高傑作かもしれない。」(p.222)と云うのが、バブル期の勢いを背景にした強気で楽観的な学者の発言として興味深い。進化の果てに特殊化し過ぎて、袋小路のどん詰まりで破綻の恐怖にもがく哀れな生き物だと気付くのは、本書の発行から約3年後のことである。2014/09/21
aki
1
1989年の刊行。著者は、むしろ化学畑の方ですな。生命誕生の謎を探った好著。5章の「生命を組み立てるー混沌から秩序へ」、6章の「RNAワールドから現在の生命へ」、7章の「分子化石から原子生命の痕跡を探る」が、なかなかスリリング。「情報担体であると考えられていた核酸が、タンパク質と同じ触媒機能を持つという事実は、最初の生命はRNAから始まった可能性を強く示唆する」(142頁)。RNAの鎖は1本しかないが、この鎖を鋳型にして、もう1本の鎖をつくることができる。自分自身の複製が可能なわけだ。生物じゃん。2022/09/30