出版社内容情報
エビフライ,天ぷらなど,一人平均で年に七○匹.世界一のエビ消費国・日本は,その九割を輸入に頼っており,エビはいまや輸入食品の中でも首位の座にある.だが,一体どこでどのように獲られているのか.インドネシアでトロール船に乗り,台湾で養殖の実情を見るなど調査を重ねてきた著者が,日本とアジアとの知られざる関係を語る.
内容説明
エビフライ、天ぷらなど、一人平均で年に七〇匹。世界一のエビ消費国・日本は、その九割を輸入に頼っており、エビはいまや輸入食品の中でも首位の座にある。だが、一体どこでどのように獲られているのか。インドネシアでトロール船に乗り、台湾で養殖の実情を見るなど調査を重ねてきた著者が、日本とアジアとの知られざる関係を語る。
目次
プロローグ なぜエビか?
1 エビを獲る人びと―トロール漁の現場
2 エビという生き物―生態・種類・獲られ方
3 エビを育てる人びと―養殖をインドネシア・台湾に見る
4 エビを加工する人びと―調味料づくり・殻剥き・箱詰め
5 エビを売る人、食べる人―この四半世紀に何が起きたか?
著者等紹介
村井吉敬[ムライヨシノリ]
1943年千葉県に生まれる。1966年早稲田大学経済学部卒業。専攻は東南アジア社会経済論。現在、上智大学外国語学部教授。同アジア文化研究所所員
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感想・レビュー
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Y2K☮
36
日本のエビ輸入量は世界1位。第三世界で獲られて先進国で食べられる。数年前にコーヒーのフェアトレードに関する話を聞いたのを思い出した。漁民が得られる純利益は日本における消費者価格の7.5%。一番大変な末端の現場で働く人たちの取り分が最も少ないのはどこの業界も同じか(半ば自嘲)。雇用を生み出してるんだから、カネを稼がせてるんだからという理屈の欺瞞。他にも乱獲や養殖に伴う枯渇と環境破壊、トロール漁で獲られた不要な魚の投棄など問題だらけ。1988年の本だが今も改善されているとは思えない。第二弾も近い内に読みたい。2019/04/07
Kei
13
少し古い本なので、現在の輸入量・消費量は正確には分からないが、世界一のエビ輸入消費国である日本のエビ関連事業の実態を書く。エビ生産に関してインドネシアや台湾の生産家の実態、環境破壊、第三世界と先進国の格差について紹介されており、それらに胸を痛める。現在は大量消費国となった中国の動向が気になるので、また新たに調べてみたい。2016/08/04
メタボン
13
☆☆☆★ 我々は巧妙にエビを食べさせられている。エビの養殖やインドネシアのエビ加工労働の実態がわかって面白かった。それにしても賃金安過ぎ。それと最終消費者の口に入るまでの流通経路が複雑だし、中間マージン多すぎる。心してエビを食べたい。2015/03/20
寝落ち6段
5
少々古いが、現在でも尚、健在の食の課題。東南アジアを中心としたエビの養殖における、1980年代後半の実情である。最大のエビ輸入国である日本の為に、身を粉にして働かざるを得ない脆弱な基盤の上に我々の食が成り立っていることを切に感じる。現在はそれらの問題に対して、民間のフェアトレードや国家間の経済連携協定(アセアン協定)などで、改善されてきているのかもしれない。それについての書籍はないだろうか。エビの偽装表示?もあったのでタイムリーかもしれない。エビの天麩羅、大好きです。2014/02/03
isao_key
5
著者は違うが『バナナと日本人』の続編にあたる。本書を書く元となったエビ研究会には鶴見良行氏も加わって共同研究をしている。エビはバナナに比べて地産地性が高いこともあり、特定企業の独占状態にはなりにくい。ただ日本のエビの輸入量は突出していて1985年の統計で世界全体の32.9%である。台湾や東南アジアのエビのほとんどが日本に向けて加工されている。74年には10.3万トンだった輸入量が86年には21.3万トンまで増えている。著者はエビを売る商社やスーパーに消費者が食べさせられている側面があると分析している。2013/11/21