出版社内容情報
一九六六年,中国を激動させ世界を驚かせた文化大革命が始まった.それは中国社会主義革命の新たな発展段階であるとされたが,八一年中共中央の「歴史決議」で大災難であったと全否定された.文革を一つの時代としてとらえ,その過程で何が目指され,いかなる結果を招いたかを,最新の資料に基づいて客観的に叙述し,文革の意味を考える.
内容説明
1966年、中国を激動させ世界を驚かせた文化大革命が始まった。それは中国社会主義革命の新たな発展段階であるとされたが、81年中共中央の「歴史決議」で大災難であったと全否定された。本書は文革を一つの時代としてとらえ、その過程で何が目指されいかなる結果を招いたかを最新の資料に基づいて客観的に叙述し、文革の意味を考える。
目次
1 文化大革命の原点
2 嵐の前夜
3 文革の全面展開と上海「一月革命」
4 軍の台頭と九全大会
5 林彪事件から四人組追放へ
6 文革終了・継承から否定へ
7 文化大革命とは?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白河清風
25
毛沢東らが「我が国社会主義革命のより深く、より広い、新たな発展段階」として文化大革命をスタートさせたが、その全過程を通じる一貫した理論や目的があったわけではなく、読後も活動の一貫性が認められなかった。この革命は毛沢東の死去と4人組の失脚により終焉を迎え、81年の第11期6中全会でこの革命の評価が採択された。それには、文化大革命は指導者が間違って引き起こし、それが反革命集団に利用されて、党と国家と各民族人民に大きな災難をもたらしした内乱であると毛沢東の理論と指導は否定されたが、生涯の功績は否定されなかった。2023/06/19
skunk_c
7
30年前、まだベルリンの壁が健在で天安門事件も起きていない頃の本。「文革」という非常に複雑で整理の難しいテーマを3人の著者が共同で解き明かす。「歴史決議」は出ていても、その後の様々な史料がない中、権力闘争の側面と、迷走する毛沢東自身の判断のぶれがよく分かる。3人の討議がしっかりしていたようで、共著とは思えない統一感。特に歴史的な流れを押さえるには、詳細な年表や、時々の権力者名簿などもあり便利。惜しむらくはもう少し毛沢東のコミューン主義について触れて欲しかったことか。現在でも十分読む価値あり。2016/02/09
おらひらお
4
1986年初版。毛沢東の後継者争とも言えそうな文化大革命。被害の状況等は林彪以外は数字で示されることが大半ですが、おおきな害をもたらしたものといえますね。ただ、まとめのところで、中国の若者が国内を移動することで、自分たちの国の現実を知ることができたとも指摘されています。2020/05/05
wei xian tiang
4
宮廷的な権力構造の中で陰惨な政争を繰り広げる中共幹部らが、政敵を打倒するのに、直接相手を攻撃する前に政敵に見立てた水滸伝の人物らを徹底的に批判し、大真面目に機関紙に転載させたりしているあてこすりの手法が、我々から見ると漫画的でおかしくもあり不気味でもある。わずかな修辞文の異同で派閥同士大真面目に殺しあう李朝の党争も可笑しいが、規模と残虐性が比較にならない。2017/09/27
斉の管仲
2
文化大革命の史実を教科書的に記述。読み物としては面白くないが、逆に淡々とした記述の中に、毛沢東の激情が見える。現在では、否定的に捉えられる「歴史」なのだろうが、今の中国のエネルギー(イデオロギー)の源泉であると感じました。中国は中国であると。2022/06/22