出版社内容情報
どうして十二月二十五日にクリスマスを祝うようになったのか.クリスマスツリーにはどんな意味があるのだろうか.謝肉祭に仮面をつけて踊り狂うのはなぜか.ヨーロッパの年間に営まれるさまざまの祭や行事,その習俗のなかに生きている守護聖者やゲルマンの神々,唱いつがれてきた詩や民謡をとおして,ヨーロッパ文化の深層をさぐる.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sigismund
6
ドイツ国内の様々な年中行事を紹介する。ゲルマンの神話や土着信仰とキリスト教の進行が組み合わさって、展開される行事の数々は日本における神仏習合を思わせる。ゲルマンの精霊たちがキリスト教の聖人たちに吸収され祀られていく過程などまさにそう。キリスト教の信仰ではカバーしきれないこころの空隙を埋めていくのが、精霊や神々に象徴される不可思議な自然だったのだろう。2016/01/18
にゃん吉
5
欧州の気候の本質を夏と冬の二季と捉え、11月の聖マルチン祭から翌年11月の万霊節までを1年のサイクルとみて、欧州(主にドイツ語圏)の生活、行事を辿っています。キリスト教に由来するクリスマスのような行事に、キリスト教伝播以前の信仰、習俗や、キリスト教との混交を思わせる、メイポールや聖人信仰のような行事、さらに、日本のもぐら打ちに似たマウルブルフ、死者や祖先の霊を家に迎え入れるゲルマンの民間信仰といった、洋の東西を問わない人々の心情が垣間見える行事もありと、多様な年中行事が紹介されており、興味深い。 2021/08/28
秋乃みかく
5
★★★☆☆ ヨーロッパ(主にドイツ)の歳時記について書かれたもの。一年を通じての行事の流れがとてもわかりやすく簡潔にまとめられていて読みやすい一冊でした。2013/04/22
ちゃちゃ
2
大学図書館で読み、四年後に再販を見つけて購入。初版は古いですが難なく読めると思います。キリスト教、主にカトリックの習俗に沿って月毎の歳時や伝承等を知ることが出来ます。カトリックの知識があると尚良い。また、ドイツ故にグリム童話の世界がリンクしそうな雰囲気があります。それだけ郷愁的で、古風な内容に感じます。現在のドイツでも歳時記は生きているでしょうか。2017/01/06