出版社内容情報
十六世紀ヨーロッパは,人々のものの見方,考え方が大きな転機にさしかかった時期であった.この転換期における政治思想を特徴づける六人の思想家――セセル,マキアヴェッリ,モア,カルヴァン,モンテーニュ,ボダン――に焦点を当て,政治そのものについてのイメージが争われ,分裂し,対決しあっていた時代を描き出す.
内容説明
十六世紀ヨーロッパは、ルネサンスと宗教改革によって象徴されるように、ものの見方や考え方が大きな転機にさしかかった時期であった。本書は、この転換期における政治思想を特徴づける六人の思想家―セセル、マキアヴェッリ、モア、カルヴァン、モンテーニュ、ボダン―に焦点を当て、近代政治思想の多様性に富んだ出発点を描き出す。
目次
1 クロード・ド・セセル―伝統的秩序と王権
2 ニッコロ・マキアヴェッリ―範型の転換
3 トマス・モア―キリスト教社会の改革と運命
4 カルヴァンとその弟子たち―「真の宗教」と政治秩序の没落
5 ミシェル・ド・モンテーニュ―安全と私的生活の擁護
6 ジャン・ボダン―主権と神の秩序
著者等紹介
佐々木毅[ササキタケシ]
1942年秋田県に生まれる。1965年東京大学法学部卒業。専攻は政治学史、政治思想。学習院大学法学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sk
3
この辺のまとめは余りないから新書で読めるのは貴重。2014/02/21
marukuso
2
近代政治思想はいかにして成り立ってきたのかをその前史である中世の代表的な人物から解き明かしていく。セセル、マキャヴェッリ、カルヴァン、モンテーニュ、ボダンら王権と宗教が大きな力を持っていた時代において少しづつ変遷していく様を見る。近代政治思想は語られすぎている感はあるが、こういう土台をしっかり書いてくれているのがありがたい。2017/09/05
左手爆弾
2
少し古いが、他にはあまりない、16世紀の政治思想についての概説書。セセル、マキァヴェッリ、トマス・モア、カルヴァン、モンテーニュ、ボダンを扱う。読んだ感じ、16世紀の時点で中世の伝統的な支配に対する批判は十分に醸造されていたと思う。それが17世紀のように展開しなかったのは、一体何故だろうか。それがむしろ大きな問題だと感じた。2014/02/04
うえ
2
「平民について見るならば、セセルは一般に何よりもその不満を招くものとして重税を批判する。また正義による保護と共に、軍隊による加害行為を予防することも王の重要な役目とされる」セセル「人間というものは極めて不完全な存在であり聖職者が描くような賢明で、徳のある、廉直な人間の類はどこにもなく同様に道徳的、政治的理性に完全に従って統治され振る舞うような都市や国家は、その大小を問わず全く存在しない」2013/08/04
天婦羅★三杯酢
1
「神と王、どちらに従うべきか」それは僧院や寺で学僧達が純論理的に扱う話題では無かった。”宗教改革”によって不倶戴天の敵同士となってしまった新旧の教徒たちによって西欧世界が混乱した時、実務的でビビッドな問いであったろう。そこに近代政治思想というものの萌芽を見出す本である。そしてこれは今”民主主義”の世の中になっても、たとえば選挙によって選ばれた政治家はどのような法を制定してもよいとするか、例え過半数の得票を得た者であっても変えてはいけないものがあるとするのか、の争いにもつながっている。2019/09/30