出版社内容情報
憲法精神はますます空洞化されようとしている．政権交代の現実的可能性をもたなかった戦後政治は，天皇制，思想の自由，司法権の独立などにどのような影響をもたらしたか．比較憲法学の立場から日本国憲法を西洋民主主義憲法の流れに位置づけ，「憲法を守る」ことの意味を，西欧諸国の戦後史との比較のなかでとらえ直す．
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aya Murakami
75
他館とりよせ図書館本。 英国病、ヴィシー政権、民主主義はファシズムにも自由を認めるのか…？法学アマチュア（現在宅建用民法勉強中）、ヨーロッパ史アマチュアには真新しいワードオンパレードで読み応えありすぎな一冊でした。 ト〇ンプ政権とかヘイトスピーチにも関係してくるファシズムへの自由…。本書では個人だけの自由だけではなくて異なる意見を戦わせて洗練させる自由のような感じで解決策を提示していました。日本の皆様には討論で心から相手を納得させるだけの力と人徳があるのか気になりますね。2019/04/01
ヤギ郎
6
憲法学のレジェンド樋口陽一先生の書いた本。比較法の観点から日本国憲法を分析している。政治や社会制度、裁判所の思想にも言及していて勉強になる。日本国憲法は世界の憲法をふまえて成り立っているんだなー。2017/09/01
うえ
3
文革とか何時代だよ｡「知識人達は､第三世界との連帯の場で思索と実践をし､ｳﾞｪﾄﾅﾑ戦争での「西洋」の役割を弾劾し､文化大革命の可能性に希望を託したのだった」「五日市の青年たちのような…土着のエネルギーが､明治日本の最大の財産だった」改憲派批判の方法も70年代と変わらない｡井上ひさしや加藤周一を引きつつ日本憲法について論ずる｡比較憲法はあんま関係ない2014/02/28
健太郎
3
大学のゼミの教授の著。新著と思ったら復刻でした。久しぶりに論理的な日本語で、頭をなやませましたが、３０年前に書かれたとは思えない内容。時代背景はかわりましたが、今でも読んで損はしません。最近のおしつけ憲法論などを聞くと、是非とも一度読んでもらいたい。と感じます。2012/08/24
スズツキ
1
憲法論の基本書であるが、結構骨太。2015/06/04
