出版社内容情報
「この国ほど，どこへ行っても重層をなす〈歴史〉が，何の粉飾もなく露出しているところは無いのではないか」．ローマ帝国，中世の異端審問，コロンブス，人民戦線とフランコ独裁．スペインに魅せられた著者が，特異な人物に富み，濃い陰影に彩られた歴史の跡を巡りながら深めた思索が，「歴史を見る」ことの苦い味を豊かに伝える．
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
トマシーナ
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紀行文であり、歴史解説であり、とにかく内容の濃い本である。スペインの有名な都市ではなく、初めて耳にするような街の名前ばかりだが、そこに纏わる歴史を一つ一つ語っていくことで、著者が言わんとする「歴史は目に見えるのである」という実感を持たせてくれる。数々の建物や美術などの華々しいばかりのヨーロッパではなく、アラブやアフリカとの繋がりを持ち、荒涼とした険しい土地も存在する側面を併せ持つ側面を知らしめてくれる。2023/10/12
