出版社内容情報
西洋美術鑑賞の懇切な手引として好評の『名画を見る眼』の続篇.本書では,モネ以後の近代絵画の名作をとりあげて,その題材,表現方法,技術,歴史的・思想的背景などを解説する.印象派・後期印象派をはじめ,素朴派,立体派,表現主義などの諸潮流から抽象絵画まで,その精華を紹介しつつ,豊かな美術の世界へと読者を導く.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
28
前篇は未読だが、図書館で見かけたので。外界を見る人間の眼が、いかに習慣や約束に規制されるものであるか(7頁)。ルノワールは貧しく、13歳の時から、陶磁器の絵付職人として働いた。扇子の絵付、窓のブラインドのペンキ塗りまで(25頁)。セザンヌのモデルは大変だったようだ。無名画家の前で林檎のようにじっとしていることなど奇特(35頁)。クリスマス前夜、ゴッホの神経は緊張。彼は幻聴のため左耳を剃刀で切り落とした、と(56頁)。えぇ…。2014/12/23
べる
26
芸術が宗教から切り離されたことで、わずか百年足らずの間にも近代絵画が激しい変化を見せたことを学んだ。その中でガンディンスキーの考えに納得した。芸術作品は内的要素(芸術家の魂の感じた感動を作品に造形化する)と外的要素(鑑賞者がその作品から自己の魂の中に芸術家の感動を体験する)から成る。両方なけれは芸術は成立しない。芸術家は感動を発見し、それを実現させるように工夫を凝らしているのだ。美術が分からない私にとって、芸術を成立させるヒントがつまっていた。紹介された名画を今見たら、違う世界を見られるかもしれない。2019/09/08
白義
19
印象派が編み出した豊かな色彩性から、スーラ、マティスの色彩革命が生まれ、写実から離れた「絵画自体」に迫っていく、ピカソやモンドリアンのような形態への考察も深まっていく。そうした絵画史の流れが、一つ一つの作品の深い解読で点と点が線になるように伝わっていく名ガイド。一見するとどこが凄いのかわからない絵画のポイントを的確に解説し、一通りそれぞれの魅力を堪能した頃には、絵画というもの自体への問いが自ずと生まれていく丁寧な構成。ルソー、シャガールのように独自の画風を築いた幻想絵画も扱われる2014/12/31
sibarin♪
19
間違って【続】を買ったけど これを読んであらためて 続 ではない「名画を見る目」も読みたいと思った。「楽園のカンヴァス」や「ジヴェルニーの食卓」を読んだあとにこれを読んでると、あちこちで画家の話がリンクして分かり易かった。表面でしか捉えてない自分の絵の見方を 違った角度から見てご覧と教えてもらった様に思えた一冊。2013/09/18
オザマチ
12
ここまで背景を知ったら、実物を鑑賞したくなりますね。2013/12/02