出版社内容情報
イギリスの文豪モームが世界文学から『赤と黒』,『デイヴィッド・コパーフィールド』,『ボヴァリー夫人』,『嵐が丘』や『カラマーゾフの兄弟』など小説十篇を選び,作家と作品を論じる.作家の日常生活や人間関係,個性や人間的矛盾を述べながら作品が生みだされる過程をいきいきと描き,小説を読む楽しさのなかへ読者を導く.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
4
1954年初出。「小説を書く者の目的は、教えるにあるのではなく、楽しまれるにある」(17頁)とは至言。自己満足では楽しまれないだろう。フィールディングもまたゲーテと同様、痛風発作に悩まされていた(62頁)。同士意識を抱ける。ディケンズの一家は貧しく、日々の暮らしは貧しい人々のそれであった(262頁)。ただし、「ディケンズ一家は、暮し向きが楽になると、直ちに高級住宅街に新築の家を見つけて引越した」(277頁)。意外と人間は立場が変わると豹変するもんだな。2013/03/13
里馬
4
題名は誤りで、十大小説"家"。上巻は「トム・ジョウンズ」のヘンリー・フィールディング、「高慢と偏見」のジェイン・オースティン、「赤と黒」のスタンダール、「ゴリオ爺さん」のバルザックに「デイヴィット・コパーフィールド」のチャールズ・ディケンズの五名。借金に塗れて遊蕩を尽くしたり、病と闘いながら家族に愛されたり、様々な境遇が面白い。下巻も楽しみです。2011/03/02
naoto
1
十大小説、かなり独自の選び方をしてるな。1958年初版…長嶋茂雄が巨人に入った年だ…、翻訳モノだったけどスラスラと読めた。モームと西川正身の文章と相性がいいんだろうな。デビッド・コパーフィールドって小説があるんだね。2015/02/15
v&b
0
小説について、スタンダール、バルザックの三章を。長編と短編の違いと、前者が不可避的に持つ不完全性のところが我が意を得たりな感じ。だった。2015/02/19