出版社内容情報
孔子の言葉を書き残した論語は,二千数百年たった今も多くの人びとに読みつがれている.なぜ,こんなにも広くかつ長く読まれたのだろうか.春秋末期の都市国家から領土国家への推移と孔子の思想的発展を照応させながら,古代アジアが生み出した「偉大な啓蒙家」――学者,思想家,教師および政治家としての孔子の全貌を再現する.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
14
人生の唯一最高の目標である仁は一生の一大事。仁の本質は学問の秘儀をなすもの(6頁)。孔子は背が高かった(59頁)。仁とは人間の自覚、優れた意味で社会的人間の自覚をさした(108頁)。孔子は未来のことを考えるようになった(193頁~)。仁というものと未来は、今後の日本においても重要になる。社会的人間として行動するのだが、放射能汚染が立ちはだかり、健康被害もまた深刻である。思いやりとも思えるが、未来世代の健康被害が懸念される。どのように仁を実践していくか。課題が多い昨今であろう。2013/08/15
みのくま
9
1951年刊行の古い本だが、春秋時代末期の孔子登場前夜の社会情勢がよくわかる。特に子産が孔子に及ぼした影響は興味深い。中国で初めて法治主義を行なった子産を孔子は評価しているわけだが、孔子は反法治である徳治主義を主張している。本書によると、子産の持つある種の合理主義が孔子に継承されたとするわけだが、果たしてそれはどこまで信じる事ができるだろうか。本書は一貫して孔子を政治から宗教を切り離した人物として描かれているのだが、白川静の主張とは大いに異なる。本書では孔子は寡頭制を打倒し君主制を理想とする政治家である。2021/08/05
スズツキ
4
岩波青版らしい重厚な内容。これは中国の歴史についてかなり把握してないと骨が折れる。2016/10/17
かずあき
2
孔子が自らの思想を政治に対して強く向けたこと、資料が確かではないものの孔子の人間性について触れられていたのが面白かった。自らの思想を持って私欲に満ちた有力者を攻撃するさま、彼らに利さぬが故に敗北するさま、弟子に囲まれ惜しまれながら世を去る様が、キリストに少し似ているようには感じた。新興士族階級として幾許かの権力を有し、実際に力を持った部分が異なるか。2019/01/06
sk
2
碩学による名著。2013/08/28