出版社内容情報
私たちの心の中には，意識の奥底に広大な無意識の世界があって，これが行動や性格を規定している．フロイトによって創始されて以来，精神分析ほど，各分野に深い影響を与えながら，また誤解や非難を数多く浴びたものはない．精神分析の科学的な性格を確立するとともに，無意識，異常心理，神経症，性欲などの意味を明らかにする．
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
27
理解しきれない部分もありましたが、全体としては面白かったです。無意識の話を考えているうちにこんがらがってきました。2023/01/16
マーブル
10
筆者は熱狂的支持と激しい反発に揺れる精神分析の考えを綜合しようとする。フロイトの考えを紐解きながら、一方に偏ることなく解説し意見を述べていて初心者にも分かりやすい。精神分析には「了解過剰」な欠点があり、実証的なもの、理論的なもの、思弁的なものが混在していることが非科学的である。神経症の原因を性的なものに還元できる場合も否定はできないが、すべてそうであると言うのは言い過ぎではないか。例え精神分析の結果症状が治ったとしてもそれは正しさの証明にはならない。もちろん、フロイトの功績を否定するものではない。2021/01/22
CCC
7
タイトル同一だがこっちは『精神分析入門』の入門書。ややこしい。しかし内容は見事。フロイトよりだいぶ真っ当に見えた。分かりやすい解説。冷静な筆致、考察。問題点にもきっちり触れる。初心者向けの解説書としてこれ以上は中々望めないだろう。半世紀以上の年を経ても古びておらず、現在でも余裕で通用する内容。2014/02/01
忘備録
6
精神分析はどうしても実証不可能な思弁的領域を含むので科学に慣れ親しんだ社会規範の中に生きる自分には受け入れづらい内容が多い。しかし、だからといって実証不能な領域を非科学として排斥するのは誤っていると思う。科学一辺倒な嫌いのある現代社会において、精神分析のようなアプローチを学ぶことは大変意義があると思う。科学は真理に近づく方法の1つのバージョンに過ぎないのだから。2018/09/14
moron_ween
5
「結び」にもある通り、フロイトの精神分析を分析した初学者向けの本。やけにフロイト以後の人物が少ないと思ったら59年初版だったのね。2013/09/07
