岩波新書
世直しの倫理と論理 〈下〉

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  • サイズ 新書判/ページ数 256p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004120469
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0236

出版社内容情報

遠くもない過去に,身ぐるみ戦争に「まき込まれ」てあらゆるものを失った経験をもつ日本人にとって,大事なことは,まき込まれながらまき返す手だてを考えることだ.居丈高な演説口調にはそっぽを向いても,世の中どこかまちがっていると感じている普通の人間の立場から,その人々のために書かれた本.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

42
図書館除籍棚より。上巻はなかった。学歴がないとよい「しごと」にありつけないとは、どこのどいつがきめたことなのか(14頁~)。今は、そうでもないが。「しくみ」が非人間的なものになればなるほど、人間は非人間的になる(32頁)。根本的な考えなおし:しくみの都合→人間の都合から考える(149頁)。平等があってはじめて、人間は「なるたけ長生きして、なんとか安楽に生きていたい」というねがいを、他人の同じねがいをそこなうことなく実現することができる(173頁)。2021/10/01

Nick

6
平等と自由、身銭を切る、政治、社会にどれだけベ平連が影響を及ぼしたのかの実態は残念ながら知っていない。折に触れて知っていきたい。2021/05/06

bittersweet symphony

1
初版1972年、過労で倒れ入院した地方都市の病院のベッドで書かれた小田実(1942-2007)さんの当時40歳の作品が復刊されました。執筆状況が状況のためか徹底した個人主義に立脚した市民運動についての話が思いつくまま延々と続きます。下巻は上巻で比較的抑えられていたべ平連を代表とする自らの活動に対する矜持と相対するものへの怒りが表面化していきます。2007/10/26

〆さば

1
小田実著。筆者はひとりひとりの生身の人間、「タダの人間」の視点から世の中を捉え、思想や運動ではなく「思想を持つ人間」や「運動をする人間」に焦点を置く。そして、国家の都合や会社の都合、前衛の革命運動に「まき込まれる」側の人間が、それらにまき込まれながらもうまく立ち回り、「人間の都合」を世の中に反映させていくにはどうすればいいかについて論じている。タイトルは堅苦しいが、文章はやさしい。また、著者自らが述べているように「起承転結あいととのった」本ではない。そのため、暇なときにパラパラ読むのに適した本だと言える。2012/06/17

和田 悠

1
板橋茶論合宿のテキスト。(上)よりもずっと読みやすい。小田実の文章は平易だが、連想で議論をつないでいるところもあり読みにくい。小田が言わんとしているところをつかまえないと理解できない。高度成長の時代を同時代的に批判した重要文献である。巻き込まれながら巻き返すためには、価値意識が必要不可欠であるが、この点は本書では展開していない。この時点で世直しの倫理は明確ではない。だが、おそらく「殺すなと共生」というかたちで結晶化していくのだろう。小田は国家権力と直接対峙した知識人であることも再確認した。2011/08/21

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