内容説明
権力はいかにして発生し、正統化され、崩壊するのか―一瞬も静止することのない大小の政治的状況に共通する法則を、ダイナミックかつ包括的に探った「政治の世界」。他に、「権力と道徳」「政治的無関心」など、「科学としての政治学」創造の試みたる十篇を集める。
目次
1 政治と政治学(科学としての政治学;人間と政治;政治の世界)
2 権力の政治学(権力と道徳;支配と服従;政治権力の諸問題)
3 政治学入門(政治学入門(第一版)
政治学)
4 市民のための政治学(政治的無関心;政治的判断;現代における態度決定)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
21
純粋な政治学者としての丸山眞男を最もよく見渡すことが出来るアンソロジー。生ける巨竜のごとく複雑で止まることを知らない権力の世界に働く政治のメカニズムを、学問としての政治学の確立を目指しながら精緻に分析していて、今読んでも政治学入門としての水準は極めて高い。コミュニケーションから生まれる権力や、権力の組織化といったハードな話題、一般市民の政治意識とあるべき構えと思考といったより身近な話題まで、分かりやすくも当時の最新の成果、また歴史的熟慮が深く活かされているのがよくわかる名文揃いである2014/10/21
びす男
16
丸山眞男による評論集。専門的な内容に立ち入った書というよりは、誰にでもわかるように「政治」というものについて語っているのが印象的。それでも、「政治的態度」や「支配と服従」などの章では政治学徒の僕にとっても目の覚めるような指摘が数多くあった。いつもそのつもりだが、この本は紛れもなく僕にとっての「教師」であった。素晴らしい、何度でも立ち返りたい。 書評 http://niksa1020book.blog.fc2.com/2014/06/10
KAZOO
15
岩波文庫が丸山真男の「政治」に関する論文を十編ほど集めてくれて出してくれました。これは非常にコンパクトでいいと思います。「現代政治の思想と行動」など、机上でしか読めないのですが、屋外でも読める感じです。「政治学入門」や「政治学」など懐かしい内容です。わかりやすいので丸山は難しい、と思っている人はこの本から入るといいかもしれません。2014/08/01
またの名
13
イキリ政治学徒と左翼妹と教授(著者)の対話風入門でやたら兄より妹に味方する教授の発言は、紳士気取りの女子への配慮にもマルクス主義への贔屓にも見える。実際著者はマルクス主義理論を大いに援用し、戦争と革命ならより危険なのは戦争と仄めかす調子。しかし左翼もやりがちな敵を壮大な陰謀論の黒幕に仕立てる「敵に騙された」式の、例えば過ちの確証が出てきても敵の捏造やら策略やらを言い訳にする某政権周辺のような弁解は政治的責任の放棄で、自らの無能力の告白と断じる。国政のトップにいて平気で嘘を吐ける人間はさすがに想定してない。2018/05/22
zoe
13
勝てば官軍。手段は、真の進歩のためには目的よりも重要。積極的にリベラルでも保守でもないということは政治的には保守的に作用せざるを得ない。批判的態度の様に見えて、実は無関心や逃避であって、放置して助長させる。署名運動はそれ自体が、どうしてもある程度、結果的に思想調査的な意味を帯びるということを否定しきれない。革命は搾取者も被搾取者をも巻き込んだ全国民的危機無くては起こりえない。自分が人格的に是認しない仕事に責任は持てないが、自分は任務を果たす義務がある。時々、自分が批判を受けているようで痛い.....。2017/07/15