出版社内容情報
戦争か平和か。高まる緊張。召集兵も傷病人も慌ただしく旅立ち、束の間の邂逅と別離が自由と平和の意味を投げかける。ついにミュンヘン会議の幕開け――。1938年9月、この「猶予」の先に何があるのか? 第2部完。
内容説明
戦争か平和か。高まる緊張。巷に流れる『待ちましょう』の曲。召集兵も傷病人も慌ただしく旅立ち、束の間の邂逅と別離が自由と平和の意味を投げかける。ついにミュンヘン会談の幕開け―一九三八年九月、この「猶予」の先に何があるのか?第二部完。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
9
WWⅡ時代。プルーストよりはページ数のわりに読める。「考えることといえば、食べることやお金を稼ぐこと、子どもをつくるといったことばかり。ドイツ人たちだってそうだ。それなのに、戦争はそこにある」(312ページ)。そういえば、クラウゼヴィッツの『戦争論』もあった。再読したい。戦争からは自由を奪われ、悪しか与えられるものはない。どんな時代、社会にあっても、人間、引用したように所得は食や育児にある、というのはわかる。しかし、日本は所得↓で粗食や少子化という最悪の選択をしていることにも気づかされる。戦争からの教訓。2013/02/04
泉を乱す
6
戦争が起きるまでの猶予は誰も知らない いまの私たちも知らない 2019/05/05
ラウリスタ~
6
読みにくいと有名だとは聞いていたんですが、まぁそういわれても仕方ない。自由への道は途中から書くテンションが下がっていたとのうわさもありますし。ただ、慣れれば読みやすいですし、素晴らしい文章です。フォークナーの「怒りと響き」と比べたらはるかに読みやすい。主語がコロコロ変わるんですが、その手法はフォークナーを参考にしたのか?15年ほど前の作品なのでサルトルも読んでいたかも。2010/06/02
テツ
5
何度か読んでいるけれどそれでも人物相関図が欲しいくらいに大量の登場人物。初読だと発狂するレベルじゃないだろうか。戦時中。どんな過酷な時代、どんな苛酷な環境であろうとも、自由な存在であろうとする登場人物たち。勿論『自由への道』は哲学書ではないのだけれど、サルトルの実存主義の形、彼の説く自由の形が鮮明に描かれている(あたりまえだけれど)。吹けば飛ぶようなひとときの平和に喜びの声を上げるパリの民衆。しかし今のこの状況が猶予であると知っている読者には滑稽にしか見えない。歴史に学ぶことは多いですね。2015/12/05
まどの一哉
3
ズデーデン地方に多くドイツ人が暮らしていることを理由に、割譲を要求するヒトラー。その正義の方便は非常に勝手な自己英雄化であって、聞くだに不愉快なものだ。現在のプーチンやトランプの言い草を彷彿とさせる。すでにユダヤ人に対するヒトラーの蛮行を熟知しているフランス中の人々が、ヒトラーの演説を聞くためにいやいやながらもいっせいにラジオにかじりつく。戦争となればパリ陥落は避けられない。2023/04/11